組合質疑応答集
 Q−18 脱退確定者に対する措置
Q−18−(1) 脱退組合員の持分債権の保全処分について
Q.  組合員Bの倒産によりその債権者Aより組合宛に債務者であるBの持分を支払停止命令(裁判所より)してきた。
 そのため、組合は、当年末決算において持分算出をしたが、支払を中止し、現在組合にて保管しているが、その処置を如何にすべきか、次の点をご指導頂きたい。
(1) 債務者Bの持分払戻請求権は、仮差押えのため、中協法第21条(時効)には該当しないものと思われるがどうか?
(2) 仮に組合が、この差押え該当部分を組合外に処分するためにはどのような手続きが必要か?
A1.  組合に対してなされた保全処分(仮差押)は法定手続に従い有効に執行(処分決定の送達)がなされたものであるから、この場合、組合は供託等による持分払戻金の組合外への処分の道はない。したがって、債権者AがBとの間の本訴を提起して、転付命令又は取立命令を得て直接請求してくるか、また債務者Bが仮差押を取消して組合に請求してくるのを待つよりほか、他に方法はないと考える。
 なぜなら、組合は持分払戻金を保管することにつき何等の不利益を受けるものではなく当該仮差押におよんだAB間の訴訟上の当事者たる資格を有しているからである。
A2. 債権者Aが仮差押したことが、民法にいう時効中断事由に該当するかどうかについては、学説、判例に争いがあり、判例は債務者Bの有する第三債務者(組合)に対する債権をその債権者Aが差押えても、その債権(持分払戻請求権)の消滅時効の進行はそれによって中断しないものとしており、したがって、この場合には仮差押のあるなしに拘らず2年で時効が完成することになる。
 学説は判例の立場に反対で、この場合の差押も債権消滅時効の中断事由になるとするのが一般で、この場合は、請求権は時効にかかわらず、依然存在することになる。 (65-68)
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Q−18−(2) 脱退者に対する延滞金の徴収について
Q.  法定脱退者が組合に対する経費又は斡旋原料代等を滞納しているとき、仮に本年4月に法定脱退した者に本事業年度末たる○年3月末に持分算定の上、払戻すことになるが、この場合4月以降滞納金の払込がない場合年度末までの延滞金(定款及び総会議決をもって徴収するよう規定されている)をも加算して、払戻持分より差引して支障ないと解せられるが、それでよろしいか?
A.  脱退した者に対し、債権を有する組合が脱退者に支払う持分と、その債権を相殺する場合、脱退以降持分支払までの期間に対し、定款に定める延滞金を課することはできないものと思われる。定款は組合員でなくなった脱退者に対しては効力を及ぼさないので、脱退者から定款の規定によって徴収することができないものと考えられるからである。
 ただし、脱退者より持分の確定するその事業年度末までは、脱退者の債務不履行に対し、民法の法定利率(年5%)による利息を課することができる。
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Q−18−(3) 法定脱退者の持分払戻請求権の時効進行時期について
Q.  中小企業等協同組合法第21条には、脱退者の持分払戻請求権は脱退の時から2年間行使されない場合は時効となる旨の規定がありますが、組合員の解散・死亡等による、いわゆる法定脱退の場合は、その事由が発生した時から時効が進行するものと考えてよろしいでしょうか。
A.  解散等による法定脱退の場合は、その事由が発生した時にその組合員は当然に脱退することになります。したがって、持分払戻請求権もこの脱退事由の発生時(脱退時)に発生します。しかしながら、持分の価額は、事業年度末における組合の財産によって算定することとなっています(中小企業等協同組合法第20条第2項)ので、持分払戻請求権は、この持分が算定された後に行使されることとなります。
 つまり、法定脱退の場合も自由脱退の場合と同様に事業年度末までは、これを行使することができないこととなっています。
 このようなことから、法定脱退者の持分払戻請求権の時効も自由脱退者と同様に事業年度末から進行するものと考えます。 (89-2-1)
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Q−18−(4) 中途脱退者に対する利用分量配当について
Q.  本組合の事業年度は、9月から8月までである。本組合において、本年2月に法定脱退した者が7月に再び加入してきたが、利用分量配当は、脱退前の部分についてはこれをする必要がないと思うがどうか?
A.  事業協同組合の剰余金の配当は、法第59条第2項の規定により利用分量配当の配当基準となる組合事業の利用分量の算定は、この配当が手数料、使用料等の過徴額の割戻し的な性格をもつものであるから、各組合員が当該事業年度内において納付した手数料、使用料等の額、又は共同事業の利用数量によって行われるのが適当であり、単に当該事業年度の組合員期間等で利用分量を算定することは適当でないと考える。
 したがって、設問の9月から2月までの利用数量等を利用分量配当の算定基準から除外することは不適当であると考える。 (169-202)
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Q−18−(5) 解散する組合における脱退届出者の取扱について
Q. 本組合には、11月下旬に脱退を予告した組合員がいるが、その後開催した臨時総会で1月31日に解散することを決議した。
 この場合において次の点につき疑義があるのでご教示願いたい。
Q1. 本組合の事業年度は4月1日〜翌年3月31日であるが、会計年度はどのように設定されるのか(1月31日か3月31日か)?
Q2. 脱退届出者は、その後になされた協同組合の解散の決議に何らかの影響を受けるのか?
Q3. 脱退が有効である場合における当該脱退者の負担すべき組合の清算費用はどこまでか(例えば当該年度の決算の時か清算結了の時か)?
A1.  脱退の時期について組合が解散をした場合、事業年度は一応解散時において終了し、解散時より通常の事業年度末までが別の一事業年度となることが、法人税法上定められており、解散した組合は清算の範囲においてのみ存続することとなるので解散時の1月31日を事業年度(会計年度)末とするのが妥当であろう。
A2. 脱退予告の効力について 協同組合は脱退の自由を原則としており予告は当然に有効であるので、事業年度末である解散時に脱退することになる。
A3. 脱退者の負担すべき清算費用解散時に脱退した場合でも清算に入るため、持分の確定は清算結了を待たねばならない。清算費用も公益費用として組合員に配分すべき財産から控除されるため、脱退者と残留組合員とで費用負担に差異はない。(71-75)
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