組合質疑応答集
 Q−23員外役員に関する質疑
Q−23−(1) 員外理事の資格について
Q. 私どもの協同組合では、組合員の後継者で組織する青年部の役員を組合理事として登用し、役員の若返りと、組合事業の活性化を図りたいと考えております。
青年部の役員は組合員企業の役員になっている者が多いのですが、個人事業者の後継者である者やまだ組合員企業の役員になっていない者もおります。これらの者を役員にすることができるように定款に「員外理事」の規定を設けたいのですが、その際「員外理事」を組合員の後継者である青年部の役員に限定する規定にすることは可能かご教示下さい。
A. 組合法では、員外理事の定数については、第35条第4項により員外理事の組合業務運営の支配を避けるために一定の制限を付しております。しかし、員外理事の資格については、組合法では特に制限規定は設けておりませんので、組合法の趣旨及び公序良俗に反しない限り組合が自主的に定めうるものと解されます。
ご質問のように、員外理事を組合員の後継者に限定することは、組合運営が組合関係者のみの運営となり、法の趣旨に反するものではないので差し支えないと思料します。
組合法で「員外理事」を認めた趣旨は、「正規理事(員内理事)」が自己の企業の事業もあることから、組合の事業運営に専念し得ない恐れがあり、他方員外からも広く人材を起用することが望ましいという点にあります。
員外理事の資格を組合青年部役員である組合員の後継者に限定するのもひとつの方法ですが、組合事業運営に精通した人材を広く外部から起用することも考えてみる必要があると思われます。
Q. この度の役員選挙で、合資会社の有限責任社員であるA氏から理事選挙に立候補したい旨の通知がありました。
A氏は、組合事業にも精通し、他の組合員からも信頼された人物なので理事として積極的活動をお願いしたいところですが、組合員の一部から、A氏に理事となる資格はないのではないかとの意見がありました。その理由は、組合の定款では「員外理事」を認めていない規定になっているので、「法人の役員」でないA氏にはその資格がないから定款違反になるとのことです。
どのように解釈すればよいのでしょうかご教示下さい。
A. 組合法でいう「組合員たる法人の役員」とは、その法人において、その業務執行、業務・会計の監査などの権限を持つ者と解されます。つまり、物的会社の取締役・監査役、人的会社の業務執行社員などがこれにあたります。
人的会社である合資会社では、「無限責任社員」が原則として会社の業務執行及び会社代表の権限を有する(商法第151条第76条)のに対し、「有限責任社員」は、経済的には無限責任社員の経営する事業に対して資本的関係においてのみ参与し、その事業より生ずる利益の分配にあずかるにすぎないものであるとされ、業務執行及び会社代表の権限を有しないものとされています(商法第156条)。しかし、実際には合資会社の定款の規定をもって有限責任社員に対内関係における業務執行権を与えるケースがみられ、通説・判例もこれを支持しています。
このようなことから、A氏が組合役員になるには、当該合資会社の定款によって業務執行権を認められた有限責任社員となるか、そうでなければ組合の定款を「員外理事」を認める形に変更することが必要となります。 (90-10)
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Q−23−(2)
「組合員たる法人の役員」たる地位を喪失した理事の員外理事就任の可否
Q. 私どもの協同組合の組合員であるA株式会社の甲代表取締役が組合の理事に就任していたところ、その任期中に、A株式会社が組合員資格事業を廃止したため、組合員資格の喪失により組合を法定脱退しました。この場合、甲氏は理事の資格を失いますか。あるいは、員外理事として引続き理事の資格を有するのですか。理事の取扱いについてご教示下さい。
ちなみに、組合の定款には、「組合員又は組合員たる法人の役員でない者は、理事については2人を超えることができない。」と規定されており 、仮に、甲氏が員外理事の資格を有するとなると、現在員外理事として2 人就任していますので、定款で定める数を超えてしまうことになります。
A. はじめに、選挙の当時、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として就任した理事(以下、「員内理事」という。)が、任期中に、組合員又は組合員たる法人の役員としての地位を失った場合に、理事に地位を当然に失うかどうかについて考えてみましょう。
まず、組合員又は組合員たる法人の役員以外の理事、すなわち員外理事を認めない組合においては、その理事は当然に理事の地位を失うと解すべきですが、員外理事を認める組合の場合については、大別して2つの異なる見解があります。
1つは、員外理事制度は、組合員以外からも幅広く人材を得ることを目的として採用されたものであり、員内理事と員外理事の選出を行う場合の組合員の判断基準はおのずと異なる。したがって、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として理事の地位を認められていたとみるべきであり、この前提を失ったときは、員外理事を認める組合であっても、当然に理事の地位を失うと解すべきであるとする見解です。
いま1つの見解は、員外理事を認めている組合においては、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員としての地位を失っても、なお理事としての権利義務を有しており、員外理事としての地位に留まりうるので、当然には理事の地位を失わないとする見解です。
現在、指導上は、後者の解釈がとられています(「定本中小企業等協同組合法詳解」中小企業庁編著、226頁、「法人登記書式精義(増補版)上」法務省民事局第4課編、427頁)。ただし、この場合、員外理事総数が、「理事定数の3分の1を超えてはならない」とする中小企業等協同組合法(以下、「組合法」という。)35条第4項の制限、あるいは、定款所定の制限を超えることはできません。
したがって、次に、この法律又は定款規定に違反する場合が問題になります。このような場合は、組合が、この違反状態を是正するための何らかの調整措置を構ずべき事態が生じたということであり、超過員数分だけ、任意の者を解任する義務を負うということになります。
解決の方法としては、員外理事となった者を自発的に退任させるか、あるいは、員外理事相互間で協議をして、最も得票数の少ない者、組合との関連度が最も少ない者などを退任させるというような方法が考えられますが、員外理事中のだれも退任しようとしない場合には、最終的には、組合法41条の規定により役員の改選を行うしか方法がないと考えられます。なお、この場合、特定の理事を法令・定款違反に問うことはできませんので、理事全員について改選請求を行う必要があります。
このようにみると、実務上の処理方法としては、員外理事となった者を自発的に退任させるようにするのが良いでしょう。 (92-8)
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Q−23−(3) 員外理事の代表理事就任について
Q. 事業協同組合において、員外の理事が代表理事になれるか?理事長、専務理事が共に員外である場合はどうか?
A. 員外理事は、組合事業に専念できる者を得るために設けられた制度であることから、代表理事になることは差支えない。しかしながら組合は組合員のための組織であることを考慮すると組合の長は組合員のうちから選任されることが好ましい。
また、理事長、専務理事が共に員外理事であることは一般的には避けるべきであるが、特別の事情でそれが組合運営に却ってプラスとなるのであれば、一概には排除すべきことではないと考える。 (105-119)
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Q−23−(4)員外監事について
Q1. 役員たる監事は組合員中より選任すべきか?また、組合員外から選任することができるか?
Q2. 本組合は定款、規約には明示していないが、これは中協法第34条に基き規約で定めておくべきかどうか?
A1. 事業協同組合の役員たる「監事」の資格は、組合員たると以外の者たるを問わないので員外から選出することができる。
A2. 特に定款、規約等に明示する必要はないが、員外役員を認めない組合にあってはその旨を記載することが適当である。 (101-112)
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Q−23−(5) 員外役員の定めのない組合が員外役員をおくことの可否
Q. 協同組合が員外役員をおく場合、次のいずれをとるべきか?
(1) 員外役員を置く旨定款に定めなくとも、員外役員を置かない旨の規定がなければ、理事の定数の3分の1までは置くことができる。
(2) 員外役員を置く旨定款に定めなければ、員外役員は置けない。
A. 説例については、法律解釈上は、理事の定数のうち3分の2までは必ず組合員又は組合員たる法人の役員であることを充たせば貴見 (1)の通りであるが、貴見の (2)の見地を加味して、員外役員をおく場合は、定款には理事の定数の下限の3分の1以内において「何人」と確定数を記載することが員外役員に関する事項を明確にさせるうえから望ましい。 (100-111)
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