平成15年度戦略的情報化モデル事業事例
1 採択テーマ
 i-PAC(ikous-Partners Access Community)システムの構築
2 事業実施者の概要
名 称 株式会社イコーズ
所在地山口県周南市御幸通二丁目12番地
代表者代表取締役  蔵本 由紀夫
営む主な事業内航船舶貸渡業
資本金2,700万円
従業員又は構成員数65名
3 事業で目指したもの
 本社と関西オフィス間や取引先(船主、オペレーター、業者、メーカー、代理店)でのリアルタイムの通信手段を電話やFAXに頼っておりネットワークによる情報の共有化がなされていないため、処理ごとに同じデータの重複入力や転記ミスの発生により余計な作業時間・労力がかかることがあった。
4 事業実施前の問題点
 少人数でより多くの船舶管理を効率的に行うために、本社にサーバーを設置し、関西オフィスとの間をVPN(Virtual Private Network)で繋いでリアルタイムでの情報共有を可能にする。
 また基幹業務のアプリケーションも船舶管理という特殊な業務に沿った当社独自の船舶管理アプリケーションを開発することにより業務の簡素化を目指す。具体的には社内において各部門間でリアルタイムに情報を共有化することにより転記ミス等の人為的ミスの減少、データの重複入力を無くし労務の軽減等により、高度でスムーズな船舶管理を実現していく。
 このように船舶管理業務のIT化を実現していくことで、陸上・海上とも最小の人員・労力でより多くの船舶を安全に管理することを可能とし、効率よく事業を展開していくことを目指す。

イコーズ殿システムイメージ

5 経営課題等の解決に向けた取組み事項、その手順及び期間
(平成15年7月〜9月末まで)
1 海務:船員の雇用から人員配置管理、休暇ローテーション管理、船舶での現金出納のチェック又それに付随する業務のフローを整理。
2 工務:船舶データの登録、部品等の発注から納品チェック、船舶別予算管理等、船舶管理における全ての業務フローを整理。
3 総務その他:予算管理や給与の算定・支払、会計における業務フローを整理。
整理した業務フローをもとに委託業者とシステム構築の打合せを週2・3回のペースで3ヶ月間にわたり行った。
6 事業実施の経過、その経過途中で生じた問題及び対応、取組み
 委託業者との打合せを行うにあたり社内でミーティングを行い業務の整理をしたが、実際の委託業者との打合せで各業務部門間の連携において、当社の希望した流れがシステム構築上不可能であることが多々あり、その都度社内で業務の流れを変えるなど調整が必要になった。
7 事業実施によって得られた効果
 2000年の設立以来、仕事のやり方自体の問題点を皆で話し合う機会がなかったが、本事業実施するにあたり社内ミーティングを重ね、個人で抱えていた問題点を表面化させ社内全体で解決することによって、社内業務全体の流れが滑らかになった。
 また全体ミーティングを重ねたことで他部署間での業務に対する理解も得られ、問題点を個人で抱えこむことなく組織として協力して解決する体制が整ったことも大きな効果であると思う。
8 事業実施者における今後の課題と予定している取組み内容
 事業終了後、本事業の委託業者においてシステム設計及び各システムごとに開発を進め、それぞれテスト導入し、2004年3月に各システムを統合4月より全面導入を行った。
 基幹業務のシステム化に伴いこれまでの限界であった5グループ以上の船舶管理が可能な状態になったが実際にグループを増やすには現在の人員数では無理なのでシステムの運用評価を行いながら対応していく予定。
 また次のステップアップとして管理船舶との情報共有化、管理レベルの向上を予定しており船舶へのGPS、PC導入により、さらにリアルタイムに簡易操作での情報共有を図り最終的にはパートナーコミュニティとして必要データを船主、オペレーターに開示・共有、取引先との受発注データを連携させることによりCRMSCMの実現を目指す予定である。
9 他の中小企業者等に対する助言等
 事業を始める以前に、自社の行っている事業について現在行っている社内業務をフローチャート等でビジュアル化し現業務の問題点と対策。システム化によってどうしたいのか(これまでのやり方を変える)等の社内方針をまとめる作業をしっかり行うことが大事。
10 事業に対するお問い合わせ
【 事業者名 】株式会社イコーズ
【 担 当 者 】i-PAC事業部長  佐藤 亜希子
【 電話番号 】0834−27−6544

語句説明
 
ISM(International Safety Management) →
 「海上交通版ISO」と呼ばれる船舶管理の国際基準のことでIMO(国際海事機関)が船舶管理に関する国際規範を策定するにあたって、ISO9000シリーズの中のISO9002の概念をとり入れ船舶管理の国際基準を制定し、船舶の安全運航の確保と海洋環境の保護を図ることを目的としたものです。
VPN(Virtual Private Network) →
 公衆回線をあたかも専用回線であるかのように利用できるサービス。実際に専用回線を導入するよりコストを抑えられる。
 この種のサービスは当初、電話回線(音声通信)で提供されていたが、最近ではインターネット上で認証技術や暗号化を用いて保護された仮想的な専用回線を提供するサービスも現れている。
CRM(Customer Relationship Management) →
 情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。
SCM(Supply Chain Management) →
 企業活動の管理手法の一つ。取引先との間の受発注、資材の調達から在庫管理、製品の配送まで、いわば事業活動の川上から川下までをコンピュータを使って総合的に管理することで余分な在庫などを削減し、コストを引き下げる効果があるとされる。

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Last updated on Sun, Aug 1, 2004