平成15年度戦略的情報化モデル事業事例
1 採択テーマ
 業務プロセス再構築による収益性改善戦略的IT化事業
2 事業実施者の概要
名 称 株式会社ダスキン山口
所在地山口県宇部市居能町3−4−45
代表者代表取締役 岩本 義忠
営む主な事業ダスキンクリーンサービス、フード事業
資本金1,000万円
従業員又は構成員数87名
3 事業実施前の問題点
 弊社の主たる事業である清掃用品のレンタル業は、創業以来30年以上市場の成長と共に順調に成長してきた。
 しかし近年の厳しい経済環境の下、取引先の倒産による不良債権の発生や売上高の減少等により大変厳しい状況にある。
 そうした中、社内の業務、経理、労務のシステムがそれぞれ独立しているため情報伝達の仕組みが曖昧で月次決算に1ヶ月以上もかかっており即時の経営判断が出来ない状況にある。さらに必要な経営資料の多くを手作業で作っており事務効率の低下を招いている。
4 事業で目指したもの
 近年の厳しい経営環境に打ち勝ち収益性の向上を目指すためには、顧客満足の向上を図ることが必要不可欠である。 値引き等の顧客要望に対し弊社の業務フローの効率化・抜本的改善を行う。 それを実現するために現状の業務に業務管理システム等のITを導入し、部分的改善から全社的改善、経営革新を行う。
会計システム
日次決算の実現、販売システムとのデータ連携を実現する。
業務管理システム
店舗毎の在庫状況の把握、会計システムとのデータ連携を実現する。
社内ネットワークインフラストラクチャー、インターネット接続、電子メール等
業務改善や、販路拡大の為のツール等の導入を実現する。
5 経営課題等の解決に向けた取組事項、その手順及び期間
(1)業務プロセスの現状分析、及び業務プロセスの再構築。(平成15年8月〜10月)
  現状の業務プロセスの分析後、新規導入の業務管理システム(販売)を検討し導入するシステムに合わせて業務改革を実施。
  1. 現状の業務プロセスの明確化
  2. 業務プロセス再構築の方針検討
  3. 業務プロセスに沿った業務システムの検討
  4. 業務管理システム(販売)導入
  5. 業務管理システム(販売)に従った業務プロセスの構築
(2)アイテムごとの原価管理を行う。(平成15年10月〜平成16年1月)
  業務管理システム(販売)導入に伴い、アイテム毎の原価管理、業務管理システム(販売)での管理を行うことで業務上、管理上の負荷を分散。
  1. 業務プロセス分析
  2. アイテム毎の原価
  3. 多角的な分析、利益分析ができる業務管理システム(販売)の検討
  4. システム導入
(3)高付加価値商品の導入を促す。(平成15年10月〜平成16年3月)
  業務プロセスの再構築、システム導入に伴う原価管理の統一を業務改革の中で行う。
  1. 業務プロセス分析
  2. 原価管理の状況分析
  3. 業務プロセス中に原価管理プロセスの追加
(4)情報の共有化によるCS向上(平成15年10月〜平成16年1月)
  導入リスクの少ないASP型グループウェアの導入を行い、システム導入の進捗を管理すると同時に、顧客情報の共有を実現するために社内LAN及びファイルサーバの設置。。
  1. 業務内容の調査
  2. CS向上の為のプラン策定
  3. グループウェア導入、社内ネットワーク構築
  4. 社内研修の実施
(5)在庫管理のシステム化(ロス削減、納期短縮)(平成15年10月〜平成16年3月)
  業務管理システム(在庫管理)において対応、業者選定から店舗毎の在庫管理を迅速に行うことや、納期短縮が可能。
  1. 在庫管理の現状ヒアリング
  2. 業務管理システム(在庫管理)システムの検討
  3. 業者選定及び、システム仕様検討
  4. システム導入、研修
(6)システムの一元化期間(平成15年11月〜平成16年1月)
  社内ネットワーク(LAN)の整備と、インターネット回線、電子メールの整備、ファイルサーバの構築を実施し、情報の取得、共有、流用を実現できる基盤整備ネットワークには、セキュリティを考慮した無線LANを構築し、社内のレイアウト変更等にも柔軟に対応できる仕組みとした。
  1. 現状の社内ネットワーク調査
  2. 業者選定
  3. ネットワーク構成検討
  4. 社内ネットワーク構築
6 事業実施の経過、その経過途中で生じた問題及び対応
<業務管理システム>
問題点:今まで活用してきたシステムをバージョンアップして再リースするのか、別の会社の製品を導入するか、またそうした場合のデータ移行作業について。
対応策:販売管理システムから会計システムへのデータ受け渡しを会計システムの担当会社に協力してもらい連携を実現した。

<会計システム>
問題点:販売管理システムと会計システムとのデータ連携が図れていない。
対応策:販売管理システムから会計システムへのデータ受け渡しを会計システムの担当会社に協力してもらい連携を実現した。

問題点:過去に使用されていた科目コードと新しく登録する科目コードの体系見直しが必要である。
対応策:税理士と、システム会社との打合わせを行い科目コードの統一化を図った。

<システム全般>
問題点:新規システムの入れ替えに伴う経理担当者の混乱、戸惑いやパソコンリテラシー不足が心配である。
対応策:並行運用期間やシステム操作研修を行い導入時の混乱を事前に防止した。

問題点:業務全般がパソコン単体での運用の為、データ共有が行われていない、またインターネット接続可能なパソコンが一部に限定されている。
対応策:社内LANを構築しファイルサーバにより情報を共有化すると共に、ブロードバンド回線を導入しルータでセキュリティを確保した上で各パソコンからもインターネット接続ができる環境を構築した。

問題点:社内で使用されているメールアドレスが従業員個人のメールアドレスを使用しており、外部との連絡用として機能していない。
対応策:会社にて独自ドメインを取得し、メールアドレスも全従業員に対して準備し、顧客対応や社内の情報伝達を効率化した。

7 事業実施によって得られた効果
 販売管理システムと会計管理システム間の連携が可能になったことで事務処理が格段に効率化された、顧客や社内との情報伝達においても電子メールの活用により効率化が図られた。
 本事業実施前の業務体制では実現できなかった新規販路開拓、情報公開が可能になったことで自社サービスのアピールも可能になった。
8 事業実施者における今後の課題と予定している取組内容
 特定の顧客だけでなく他の取引先とも電子メールによる受発注に取り組めば、より一層の相乗効果が期待できる。 今のところ紙ベースと電子メールが混在しており、業務の整理が必要だが、社員のITリテラシーを向上し、IT活用及び、業務改善を定期的に行い、ビジネスチャンスを獲得していきたい。。
9 他の中小企業者等に対する助言等
 システムの導入の際には、複数の業者から提案を受け、見積内容については確実に内容を理解しわからなければ業者へ相談し解決し費用、サポート体制を十分に検討し、最終的にIT化によりどのようにしたいのかを明確にすることが重要で明確にすることで、スケジュールや費用に大きな開きが発生することもあるが最も重要なことは自社でITを活用するイメージを作り上げることです。
10 事業に対するお問い合わせ
【 事業者名 】株式会社ダスキン山口
【 担 当 者 】経営企画室長  岩本恭子
【 電話番号 】0836−31−0923

語句説明
 
ASP(Application Service Provider) →
 ビジネス用のアプリケーションソフトをインターネットにより顧客にレンタルする事業者のこと。
 ユーザはWebブラウザを使って、ASPの保有するサーバにインストールされたアプリケーションソフトを利用する。
 レンタルアプリケーションを利用すると、ユーザのパソコンには個々のアプリケーションソフトをインストールする必要がないので、企業の情報システム部門の大きな負担となっていたインストールや管理、アップグレードにかかる費用・手間を節減することができる。

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Last updated on Wed, Dec 21, 2005