組合質疑応答集
 Q−9 員外利用について
Q−9−(1) 組合のコンピュータネットワークの実施と員外利用規定について
Q. 当組合は、食料品卸売業で組織する組合です。これまで組合では組合員の取り扱う一部商品についての共同購入事業を実施してきましたが、組合の取り扱う商品が多岐にわたっており、仕入先及び小売業者等取引先との受発注業務が非常に煩雑であることから、組合にコンピュータを導入して取引先とのネットワークを構築し、組合員の取り扱うすべての商品に関する受発注業務のオンライン処理を行いたいと考えています。
 しかし、一部組合員から「コンピュータネットワークの実施は、組合の共同施設であるコンピュータ及び組合事業を員外者である取引先に利用させることとなり、員外利用の規定に抵触するので、本事業は組合で実施するのではなく、別組織を設置して実施する必要がある。」との意見が出されました。組合が直接取引先との間でコンピュータネットワークを実施することの可否についてお教え下さい。 
A.  情報化の急速な進展に伴い、中小企業にも情報化への対応がせまられる状況となっている中で、貴組合のように、組合員の受発注業務等を組合を中心としたコンピュータネットワークの構築によって合理化しようという気運が高まっています。 しかし、受発注業務等をネットワークによって実施することは、組合員のみならず、取引先等員外者との接続が必須条件となるため、いわゆる員外利用制限の規定との関連が問題となります。以下、ネットワーク実施におけるいくつかの業務について、具体的に考えてみることとします。
(1) 受発注業務組合員の取引先(仕入先あるいは販売先)とのネットワークによる接続は、これまで組合事業として行っている共同販売、購買事業等の仕組みにおける受発注手段のコンピュータを利用したオンライン化であり、員外利用規定には該当しないと考えられます。
(2) 配送業務組合が組合員の取扱品を配送するため、員外の配送業者に業務を委託し、オンライン化を図ることは、組合員の配送業務の共同化における連絡手段のオンライン化に過ぎず、(1) と同様員外利用規定には該当しないと考えられます。
(3) 決済業務本業務は、イ、組合員と取引先間における取引の代金決済、ロ、組合員の取引先に対する支払いについての組合の代払い、の2つの形態がありますが、これらは組合員の取引先に対する決済をネットワークにより補完するものであり、同様に問題はないと考えられます。
(4) 取引先等への情報提供受発注業務等により収集されるデータの取引先等への加工・提供は、組合員の事業活動の1つとして従来から行われている経営情報の提供(売れ筋情報、消費者ニーズのフィードバック等)の共同化であり、この範囲において問題は生じないと考えられます。
(5) ネットワーク業務外活動
ネットワークの構築は、多大な投資、専門的知識を有する要員の確保等が必要となります。しかし、例えばシステムの立ち上がり期等においては、組合員のOA化の未熟さ等の理由から組合員の参加が少ないことが多く、システムの軌道化は容易ではありません。そのため、これら投資、要員確保等のための経費をカバーするには、員外利用・自営的活動(員外者への機器の販売、各種計算の受託、員外者又はネットワークシステム以外のシステム開発・販売等)を実施していかざるを得なくなる場合も考えられます。
しかし、これは組合員の事業に直接関係するものでないので、組合で実施する場合は員外利用制限の適用を受けることとなります。そのため、共同出資会社等の別組織を設立し、組合員内・員外を問わず広く事業を実施している事例もみられます。 (89-11)
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