組合質疑応答集
 Q−14 その他の出資関連問題
Q−14−(1) 員外者の出資について
Q.  中協法には員外者が出資してはいけないという禁止規定はないが絶対にいけないものか?その根拠を何処に求めるべきか?
A.  組合員は一口以上の出資を有しなければならないということは、中協法第10条に規定するところであり、その出資額を限度として責任を負うものであることも同条第4項に規定するところである。さらに協同組合とは組合員が相互扶助の精神に基づき協同して事業を行うため組織されたものであるから、これらを総合して考えるならば、組合は組合員のためのものであり、員外者が出資するということはあり得ない。なお、員外者の組合事業の利用については、中協法では准組合員制度を認めていないので、中協法第9条の2第3項の員外利用制限が適用される。 (47-49)
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Q−14−(2) 組合の債務に対する組合員の責任について
Q1.  組合の借入金、買掛金等の対外債務に対する組合員の負うべき責任の限度については中協法第10条の出資金を限度とする有限責任は絶対的なものであるか?
例えば、総会において、各自の出資金以上の金額を負担すべきことを決議した場合、あるいは、組合員の或特定の者を指名して負担せしめることを決議した場合等、この決議は有効であるか?
Q2. 上記に関して貸付金、売掛金等の未回収のため、借入金等の返済不能を生じた場合、責任は誰が負い債権の追及は何処まで及ぶか?
Q3. 赤字累積による清算の場合はどうか?
A1.  組合がその事業の遂行上、第三者と取引をし、借入金、買掛金等の債務を負い、かつ、その弁済が不能となった場合において、組合員が負うべき責任は、その出資額を限度とし、総会その他の決議をもってしても、これを超える責任を負わせることはできないものと解する(中協法第10条第4項)。
なお、組合が借り入れた資金を組合員に貸付けた場合、組合が共同購買した物品を組合員に販売した場合等において生じた組合と組合員間の債権債務関係については、出資とは関係なく、組合に対して債務を負っている組合員は、弁済の責に任じなければならない。また、組合の第三者に対する債務について全部又は一部の組合員が組合のために連帯して保証をしている場合(いわゆる連帯保証)に、その保証をした組合員は、個人的に無限に責任を負うことになる。
A2. 従って、設問のごとく、組合員に対して出資額以上の責任を負わせること、組合の債務につき、特定の組合員を指名して弁済の責に任じさせること等を総会において決議し、決議なる故をもって負担させることは、法令違反であるから無効である。
A3. 組合財産をもって債務を完済するに足りない場合において、解散をし、又は破産の宣告を受けたときも、組合員の責任は、上述の組合と同様である。
なお、本件の如き事例も、総会の決議である旨をもって組合員に限度額以上の出きんを強制することはできないが、自主的意思によって負担しようとすることを阻止するものではない。 (47-50)
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Q−14−(3) 行方不明組合員の出資金整理について
Q. 組合員Aは、昭和○○年1月30日に組合に加入し、平成×年12月30日まで組合を利用していたが、その後行方不明となった。組合としては、Aの出資を整理し実質上の組合員の出資のみとしたいが、どのような処理が適当か?なお、Aの組合に対する負債はない。 
A.  出資を整理するには、当該組合員が組合を脱退することが前提となり、ご照会の場合の行方不明組合員については資格喪失による脱退か、または
除名による強制脱退が考えられる。具体的事情が不明で判断し兼ねる点があるが、もし行方不明と同時に事業を廃止しているのであれば、資格喪失として処理することが可能と解する。この場合、組合員たる資格が喪失したことを理事会において確認した旨を議事録にとどめると同時に、内容証明郵便をもって持分払戻請求権の発生した旨の通知を行うことが適当と考える。除名は総会の決議を要しこの場合除名しようとする組合員に対する通知、弁明の機会の賦与等の手続が必要であるが、組合員に対する通知は組合員の届出住所にすれば足り、この通知は通常到達すべきであったときに到達したものとみなされるから一応通知はなされたものと解される。弁明の機会の賦与については、その組合員が総会に出席せず弁明を行わない場合は、その組合員は弁明の権利を放棄したものとみなされ、除名決議の効力を妨げるものではないと解される。なお、除名が確定した場合は、資格喪失の場合と同様の通知をするのが適当である。
以上の手続きにより、当該組合員に持分払戻請求権が発生するが、その請求権は2年間で時効により消滅するので、時効まで未払持分として処理し、時効成立をまってこれを雑収入又は債務免除益に振替えるのが適当と考える。 (54-56)
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Q−14−(4) 設立後の現物出資の受け入れについて
Q.  当組合は、規模の利益を実現するために2年前に設立された事業協同組合です。組合事業としては大型機械を導入し、組合員の取り扱うA製品の共同加工を行っています。組合員の取扱量が年々増加し、機械設備の増設を検討していたところ、同業のB社から自社の所有する加工機械一式を現物出資することにより、加入したい旨の申し出がありました。B社の所有する加工機械は業界内でも最新鋭の機械であり、組合としては、B社の所有する設備を受け入れるメリットは充分あり、同社の申し出を承諾したいと考えています。当組合は、設立の段階で各組合員からの現物出資を認めておりましたが、設立後においても現物出資ができるのでしょうか。
A.  現物出資については、中小企業等協同組合法第29条第3項に次のように規定されています。「現物出資者は、第1回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。」本項は、組合員の立場からみた出資の第1回であるとかんがえられますので、設立後、新たに組合員が加入する場合であっても、現物出資は可能であると考えます。ただし、設立後において現物出資を受け入れる場合は、仮に貴組合のように定款に現物出資が可能である旨の規定がある場合であっても、「氏名、出資財産名、価格、与える出資口数」の記載(中小企業等協同組合法第33条第3項)の追加が必要であり、これは定款の変更に該当しますので総会における定款変更の議決と行政庁の定款変更の認可が必要となると考えます。
 したがって、B社の加入申込みは、通常の加入の承諾と異なり、理事会の承諾に加え、事実上、総会での議決が必要となることになります。
(90-2-2)
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Q−14−(5) 組合員の出資口数に係る限度の特例について
Q.  私どもの事業協同組合は、現在、事業拡張のための増資を計画していますが、組合員の大半が小規模な事業者であるため負担能力の問題があり、今回は理事長企業をはじめ一部の有力な組合員の割当比率を高目に設定しています。ところが、この割当て案でいきますと、増資後の理事長企業の出資比率が全体の30%を占めることとなり、25%の法定限度を超えてしまいます。昭和59年の中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)の改正で、組合員の出資口数に係る限度の特例が設けられたと聞きましたが、今回のような場合でもこの特例の適用が受けられるのでしょうか
A.  組合法は、組合員の平等を実質的なものとし、組合の民主性を確保するため、1組合員の出資口数を、事業協同組合にあっては、原則として出資総口数の25%以内に制限しています。これは、少数の者に出資が偏ると、実際の組合運営が多額出資者の意図する方向に傾き、議決権及び選挙権の平等が事実上崩される恐れがあるからです。
 ただし、この出資口数の制限については、ご指摘のとおり、昭和59年の組合法の改正により特例が設けられています。
 この特例は、組合財産の維持の見地から、特定の場合に限って、組合員は例外として出資総口数の35%まで持つことが認められるというもので、この特例が認められるのは、次の4つの場合に限られています。
(1)組合員が自由脱退しようとする場合で、他の組合員がその持分の全部又は一部を譲り受ける場合
(2)法人たる組合員同志が新設合併した結果、新たに成立した法人が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受けて、新たに組合員として加入してくる場合
(3)法人である組合員が法人である組合員を吸収合併した結果、存続する組合員が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受ける場合
(4)合併以外の事由により法定脱退した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を、他の組合員がその組合員の脱退後1年以内に引き受ける場合
要するに、出資口数の限度に係る特例の適用は、組合員の脱退や合併といったやむを得ない事情により減少した組合財産を補う場合に限られており、したがって貴組合のような増資のケースには、この特例の適用は認められておりません。これは、組合財産の維持・充実という観点からは、負担能力のある組合員に応分の出資を引き受けてもらうことが望ましいものの、特例の範囲をあまり広く認めると、組合員の平等性の実質的な維持が難しくなることが懸念されるからにほかなりません。   (89-7-1)
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Last updated on 2000.2.1