組合質疑応答集
 Q−21定款、規約、規定等に関する質疑
Q−21−(1) 定款、規約等の解釈について
Q. 私は組合の事務局長に就任したばかりですが、当組合には、定款、規約規程など様々なものが設けられており、その区別がよく分かりません。これらの相違点についてお教え下さい。また、よく「規定」という言葉も使われますが、「規程」と「規定」の違いについてもお示し下さい。
A. 組合には、中小企業等協同組合法をはじめとして、同法施行令、施行規則など、組合の運営その他を定めた関係諸法規がありますが、組合自体が法に則り、組合を運営していくために必要な具体的方針あるいは一定の基準を定めるものとして、定款、規約、規程等があります。
定款は、組合の事業を進めるうえにおいて重要な意義を有し、組合の組織、運営等についての基本的な内部規律を定めた自治法規であり、いわば組合の憲法ともいうべきものであす。したがって、この定款の設定及び変更については総会の議決が必要であり、議決方法も特別議決によることとなっています。
規約は、定款に定められた事項の運用細則ないし事務的事項を定めるもので、組合の業務運営、事業執行等に関し、組合と組合員間を規律する自治法規です。規約を定めるかどうかは任意ですが、これを定めた場合には定款と同様に組合員全員を拘束することとなるため、規約の設定、改廃についても総会の議決を必要とします。(この場合には普通議決で足りる。)役員選挙規約、共同販売事業規約などがこれにあたります。
規程は、組合の事務執行上に必要な関係を規律する内規であり、理事会において設定又は改廃できるものです。給与規程、旅費規程などがこれにあたります。
なお、「規定」とは、法律、定款、規約、規程などそれぞれに定められた個々の内容を指すもの、つまり条文の内容を指す場合に使われるもので、「規程」とは明確に区別する必要があります。 (89-4-2)
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Q−21−(2) 規則、規約等の定義について
Q. 協同組合の運営上、諸規約諸規程の設定は必要欠くべからざるものであるが、これらを作成するに当たって次の原則的な説明と相違点並びにその使用される場合の事例をお知らせ願いたい。
1規則とは
1規約とは
1規程とは
1規定とは
A. 規約、規程については必ずしも明確な区別はなく、混同して使用されているので、一般的に定義づけることは困難であるが、従来の慣習並びに字義により区別すれば大要次のとおりと思われる。
(1) 規則とは、広義に規則という場合、諸々の事項を規定した例えば定款とか規約とか、規程等を総称していわゆる「さだめ」をいうが、最狭義に規則という場合は国の立法機関としての国会以外の機関が制定する成文法=それらは名称を規則というだけで必ずしも法的性格を等しくするものではない=をいい、現在、最高裁判所や衆・参議院等特定の諸機関が規則制定権を認められている。なお各大臣が主任の行政事務について発する命令が規則という形であらわれていることもある。
(2) 規約とは、例えば協同組合等が組合の業務運営その他一定の事項に関し、組合と組合員間を規律する自治法規であって定款と同様、総会において決められるべき性質をもったもので、選挙規約、委員会規約、金融事業規約、共同購買事業規約等がある。
(3) 規程とは、例えば協同組合が組合の事務、会計その他に関して定める内部的な規律であって、主として事務遂行上必要な関係を規律する内規律的なもので、理事会等に諮り決定し得る性質をもつもので、文書処理規程、服務規程、経理規程、給与規程等がある。
(4) 規程とは法律、定款、規則、規約、規程などの条文に定められている個々の内容をいい、普通は条文の内容を指すものと考えてよい。(91-98)
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Q−21−(3) 組合諸規程の決定機関について
Q. 本組合では、組合運営に必要な規程類を現在作成中であるが、下記のものは総会の承認を得る必要があるものか、理事会の決定のみにてよいものか教示願いたい。

文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、退職金規程、昇給規程、旅費規程
A. 組合の文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、退職金規程、旅費規程等主として組合の業務執行上必要な関係を規律する内規的なものの決定は、理事会の議決をもって足り、総会の議決を経る必要はない。
ただし、給与規程、退職金規程が常勤等の役員に適用される場合は、理事会の決定では事柄の性質上適当でないので、総会の議決を経て決定するのが望ましい。
なお、役員選挙規約、共同施設利用規約(実際には役員選挙規約、共同施設利用規程といっている場合が多い。)等組合の業務運営その他一定の事業執行に関し、組合と組合員間を規律する自治法規的なものについては総会の議決を経て決定しなければならない(中協法第34条)。 (92-99)
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Q−21−(4) 副理事長の職務権限に関する定款記載について
Q. 副理事長の職務権限は定款に明記する必要があるか?
A. 副理事長の業務分掌を定款に記載すべきかどうかについては定款が組合の組織運営に関する基本的な自治法規である点にかんがみ理事長及び専務理事と同様に定款に記載すべきものと解する。
事業協同組合の定款例においてもこのような観点から定款に明記するよう指導しているので申し添える。 (93-100)
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Q−21−(5) 職員に関する規定の定款例について
Q. 事業協同組合定款例の職員に関する規定について次の点を回答されたい。定款例第33条(参事及び会計主任)と同34条(その他の職員)の規定は、なぜ同一条文にならないのか?
A. 参事及び会計主任は、組合の使用人であるが、実質的には代表理事の補佐役(特に参事は組合に関する一切の代理権を有する)としての重要な地位を占め全組合員の利害に重大な関係があるので、その他の職員とは別条にしているのである。 (93-101)
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Q−21−(6) 職員に関する規約等について
Q. 職員設置規定を定款より削除し、すべて「規程」によりたい考えであるが、次に事項について回答頂きたい。(1) 定款の職員設置条文は、職員の身分保全のためにも、残した方が良いのではないか?(2) 「規程」は、組合内部業務執行事項で理事会により決定され、人事については総代会の意志反映が全くなくなるので、人事規程を「規約」として総代会承認事項とするのが適当でないか?
A. (1) 職員の設置規定は、定款の任意事項で記載するか否かは、組合の自由であるが、職員を設置する組合においては、職員という機構を置くことであり、定款に職員をおくと定めることが望ましい。
(2) 人事権の伴わない経営の執行はあり得ないことであり規約として総代会の承認を必要とさせることは、このような理事会の業務執行に関する権限を大幅に縮少させることにもなりかねないので好ましいことではない。したがって、仮りに総代会において定めるとしても、事務組織などの基本原則に止めることが適当である。
なお、労働基準法においても使用者の概念は業務執行者である代表理事を指しており、労務契約についての権限は総代会にあるよりも理事会におくことが望ましい。 (94-102)
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Q−21−(7)議決権・選挙権に関する定款記載方法について(協業組合)
Q. 議決権、選挙権に出資割制を認める場合の定款の記載方法については、模範定款例に「組合員は、それぞれの出資持口数に何を加えた議決権及び選挙権を有する。」とあるが、加えるべき数は整数によらなければならないか。整数を加えることとすれば、議決権、選挙権については、出資口数割の議決権等の総数は平等割の議決権等の総数を超えることができないので、組合員の移動、出資口数の変更等によって、定款変更しなければならないケースが多くなる。 
A. 協業組合の場合は、平等の議決権等のほかに、出資に比例して議決権等が認められ、出資比例議決権数が制限されているので、定款の記載について、質問のような整数による確定数を記載すると、組合員の移動や出資の増加等によって、この制限を超える事態も当然予想され、定款変更がその都度行われなければならないことになる。
 これについての定款規定は、議決権等を行使する際に各組合員が有している議決権等を算出できるものであれば良く、必ずしも整数による確定数を記載する必要はないと考える。
 この場合に、定款の記載をどのようにすれば良いかであるが、一つの参考をお示しすると、次のような内容でよろしいのではないかと考える。
 
〔例〕 第○条 組合員は、それぞれの出資持口数に、各組合員に平等に与えられた議決権数を加えた数の議決権及び選挙権を有する。
前項の各組合員に平等に与えられる議決権数は、出資総口数を組合員の総数で除して計算した数より大きく、その数に最も近い整数とする。

(注)

平等割の議決権(選挙権)数を、前項よりも多くする場合は、第2項を次のように記載する。
前項の各組合員に平等に与えられる選挙権数又は議決権数は、出資総口数を組合員の総数で除し、その除して計算した数に何を加えた数とする。この場合において、少数点以下の端数がでたときは切り捨てるものとする。

(注)

加えるべき数は、平等割の議決権数等を何個にするかによって適宜記載する。
(216-259) 
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