組合質疑応答集
 Q−38 役員選挙に関する質疑
Q−38−(1) 立候補届出期間等について
Q. 事業協同組合定款例第30条第5項(立候補制、推薦制をとる組合の役員選挙総会公告期間20日前)と同条第6項(当該組合の立候補者、推薦者の届出期間15日前)とは、日数において反対の性質のものではないか?
A. 総会会日の公告日と立候補の届出期間との関係については、先ず総会の協議事項、開催月日を明示して公告をなし、その総会会日に役員選挙を行う旨の公告内容の一項目として立候補期間を定めるものであり、おたずねのように反対の性質のものではないと思料する。 (126-140)
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Q−38−(2) 役員候補者推薦人を理事会に限ることについて
Q. 役員選挙に推薦制をとる組合が、候補者の推薦人を理事会のみに限定することはできるか?
A. 推薦人を理事会のみに限定することは、汎く人材を得る見地から、また他の組合員も等しく選挙し、選挙される権利をもっている点からみても不適当と思料する。 (126-141)
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Q−38−(3) 役員定数を超過した投票の効力について
Q. 連記式投票をとる組合の役員選挙に際して、投票すべき役員数を超過して記載された投票(例、役員定数10人のところ12人記載)、あるいは投票すべき員数に達しなく記載された投票の有効、無効について回答されたい。
なお、本組合には、定款には連記式投票制は明記してあるが、連記すべき数の規定がなく、また規約等にもそれがない。
A. 選挙すべき役員数を超過した投票は、全部(記載された被選挙人員、設例では12人)無効である。
また、選挙すべき役員数に達しない投票については有効である。 (127-143)
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Q−38−(4) 次点者の繰上げ当選について
Q. 総会において、理事の選挙を行い、総会終了後、理事当選者に対し、就任方を依頼したが、就任を辞退した者があり、この場合次点者を繰上げて理事当選者にすべきか?又は新たに選挙をしなおすべきか?
A. 総会において選挙を行い、当選した理事が就任を辞退したときは定款又は役員選挙規約等により次点者繰上げの定めのあるとき以外は、定数を欠く員数分の理事について新たに選挙し、補充すべきであると考える。 (132-151)
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Q−38−(5)指名推選における選考委員の資格について
Q. 指名推選制の選考委員は、組合員でなければならないか?又は、員外役員あるいはその他の非組合員でも差支えないか?
A. 選考委員は、組合の性格からして組合員のなかから選ぶのが適当と考えるが、組合員以外から選任しても違法ではないので、特別の事情があるときは組合員以外より選ぶことも止むを得ないであろう。 (128-145)
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Q−38−(6) 地区別、部会別等による役員選挙の是非
Q. 総会の席上において、業種などによる部会別あるいは地区別に役員を選挙することは適法か?
A. 中協法第35条第3項により、役員の選挙は「総会において選挙する」となっており、地区別あるいは部会別の選挙は総会における選挙とはならない。
また、この場合の総会とは、総会の開催されている会場のみを意味する のではなく、総会という機関そのものを意味していると解すべきであるか ら、設問の選挙が総会の席上であっても、部会別等による選挙は、部会別 等に投票所を設けて行う選挙と実質的にかわりなく、総会という機関にお いて行われたこととはならないので適法とみることはできない。 (128-146)
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Q−38−(7) ○×式による役員選挙方法の是非
Q. 投票用紙に予め候補者全員の氏名を連記の上配布し、○×によって投票を行うことの可否。
A. 差支えない。 (127-144)
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Q−38−(8) 任期満了前の役員選挙について
Q. 事業協同組合において、任期満了前に役員の改選を行う場合に次の点をご教示願いたい。(1) 任期満了前に改選のための役員選挙を行うことは問題があるか?
(2) 前項に問題がないとすれば、その選挙の期日は任期満了前の何日以内とすべきか?
A. (1) 新たに選出された役員は、前役員が辞任しない限り、前役員の任期が終了するまで役員に就任せず、任期満了の翌日に初めて就任することになるわけであるから、前任者の任期満了前に新役員を選出しておくことは何ら差支えない。
(2) 任期満了前の何日以内に開催しなければならないかということについては、定説がないので任期満了日に近い期間に行うのが適当である。
その期間は、任期満了日に近い期間内で組合の実情を勘案して決定し、規約などに定めておくことも一案である。
なお、農協においては、「任期満了日の60日前から7日前までの間」となっているので参考までにつけ加えておく。 (132-152)
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Q−38−(9)役員選任制の運用
Q. 当組合は、役員の選出を「選任制」の方法で行うこととしておりますが、次の点についてご教示ください。
(1)推薦会議への推薦委員の委任状(代理)出席は、可能ですか。また、書面による出席はどうですか。
(2)推薦会議で決定した役員候補者を理事会で修正または拒否することができますか。
A. 組合役員の選出方法には、大きく分けて、「選挙」による方法(例外として、指名推薦の方法を含む。以下「選挙制」という)と、「選任」による方法(以下「選任制」という)の2つの方法があります。「選任制」は、役員を総会の議決(多数決)によって選出するもので、あらかじめ一定の手続により選定した役員候補者を、一つの議案として総会に提出し、これに対する賛否を問う方法です。選任制は、選挙制を採ることが総会運営上問題を生じがちな、組合員数の多い大規模の組合で採用する場合に意味のある制度ですが、概ね次の手順に従って行うよう指導されています(昭和55年9月2日付55企庁第1324号中小企業庁指導部長通達「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う運用について」参照)。
(1)推薦委員の選出(2)推薦会議の招集(3)推薦会議の開催・役員候補者の決定(4)役員候補者の承諾(5)役員候補者を理事長に推薦(6)理事会の開催(役員選任に関する議案の決定)(7)総会開催通知(役員候補者名簿の送付)(8) 総会(役員の選任)
それでは、ご質問について考えてみましょう。
(1)推薦委員は、その人格に重きをおいて、地域、業種、規模等から組合員によって選出され、役員候補者の決定を委任されたものです。このような推薦委員の性格上、その職務行為を他人に委任することはできません。また、推薦会議への書面による出席についても、推薦委員の職務は、役員候補者を選定するという、いわば原案そのものの作成に参画するということにあるわけですから、あくまでも推薦会議に実際に出席するのでなければその職務は果たしえず、したがって、書面による出席も認められておりません。
(2)選任制においては、役員候補者の選定は、理事会が行うのではなく、地域、業種、規模等各組合の実態に即して定められた選出母体ごとに組合員の中から選ばれた、推薦委員をもって構成する推薦会議において行うことになっており、理事会は、推薦会議において選定されたところにしたがって役員候補者名簿を作成し、総会提出議案として決定することになっています。
これは、選任制が選挙制に比べて、組合の民主的運営という点においてやや欠ける面があり、その運用を誤ると組合運営がボス的支配に陥る危険性もあることから、役員候補者の選定に組合員の意向を反映できるよう配慮したものです。
このようなことから、推薦会議で決定した原案を理事会において修正したり、拒否したりすることができることになると、実質的に理事会が役員候補者を決定することになり、推薦会議まで設けて民主制を担保しようとした趣旨が失われることになります。したがって、推薦会議で決定した役員候補者を理事会において修正または拒否することは許されません。 (92-12)
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Q−38−(10)
指名推選により当選した当選人が理事就任を辞退した場合の効力について
Q. 私どもの事業協同組合では、先に開催した通常総会において、指名推選の方法により役員選挙を行いましたが、総会終了後当選理事18人のうち4人が理事就任を辞退しました。当組合の理事定数は、定款により「15人以上18人以内」となっていますので、この4人の就任辞退者が出た結果、理事就任者が理事定数の下限を下回ることになってしまいました。指名推選の方法をとる場合は被指名人を区分して行ってはならないと聞きましたが、当組合の場合は、再度理事全員について選挙しなおすべきでしょうか。また、辞退した4人分についてのみ選挙すればよいのでしょうか。
A. 指名推選制は、役員選挙について、最も民主的であるべき無記名投票制 の例外として設けられている制度ですから、その方法の実施に際しては、法律上、(1)総会の出席者中に異議がない場合に限り、この方法の採用が認められること(中小企業等協同組合法第35条第9項)、(2)当選人の決定について、出席者全員の同意を必要とすること(同条第10項)、(3)2人以上の理事又は監事を選挙する場合において、被指名人を区分してこの方法を用いてはならないこと(同条第11項)、この3つの厳しい要件が課されています。
法がこのような要件を課しているのは、多数派が少数派を排除することによって理事又は監事の構成が多数派に偏することを防止するためです。
さて、そこでご質問の場合について考えてみましょう。ここで提起されている問題は、指名推選の方法により理事の定数の全員を選挙したにもかかわらず、その後一部当選人の就任辞退により、理事数に不足が生じたため、再度役員選挙を行う場合において、先の役員選挙における当選人の当選を有効なものと認めてよいかという問題です。
これには2つの見解があります。1つは、そもそもこのような理事数の不足は、定数の全員が選挙され、当選人が確定した後に生じたものであるから、当選人の当選は有効であるとする見解です。ちなみに、投票によって選挙された場合におけるこのようなケースについては、この考え方により、当選人の当選は有効であると解されており、したがって理事数の不足分については、繰上げ当選の定めがあれば次点者を当選人とし、繰上げ当選の定めがないときは、就任辞退による不足数につき再度選挙すればよいこととされています。
いま1つの見解は、指名推選制が、前述のように、投票による選挙方法の例外として設けられ、その実施に際しては特に厳しい要件が課せられている点を重視し、就任辞退者分のみの選挙は、多数派による少数派の排除の防止を目的とする法の趣旨に反する結果を招く恐れがあるとして、指名推選の方法をとる場合においては、当選人の当選を無効とし、改めて全員について選挙しなおすべきであるとするものです。
しかし、ご質問のようなケースにおいては、前者の見解のように、当選人の当選は有効であると解すべきであり、また、ご指摘の、指名推選制に課された要件の中の「被指名人を区分してこの方法を用いてはならない」とする規定については、あくまで1つの選挙行為について指名推選の区分適用を禁止する趣旨のものであって、選挙行為が終了した後に、既に就任を承諾した当選人の当選を無効とし、再度全員について選挙しなおすことまでも求める趣旨のものではないと解されます。 したがって、貴組合の場合は、就任辞任により不足が生じた4人の理事を補充するための選挙を行うことになります。 (91-1)
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Q−38−(11) 役員選挙についての疑義
Q. 役員改選期を控えていますが役員選挙方法について2つお尋ねします。
1.理事と監事とは分けて選出すべきとのことですが、何故でしょうか。
2.模範定款例によれば「得票数が同じであるときは、くじで当選人を決める。」とありますが、重要な役員をくじで決めるとは不謹慎のように思えます。何故「くじ」としたのでしょうか。
A. 質問の第1点役員の選挙方法として、例えば、得票数の多い順から理事を決めていき理事の員数を充たした段階で、次の得票数の者から監事としていく。このように理事と監事とを1つの選挙で選出することは、適当でありません。何故なら、理事は業務執行を、監事は会計等の監査を職務としており、役員であっても職務内容を異にするものです。これを一緒に選出しようとしても、組合員にとっては、極端にいえば意思表示(投票)のしようがないといえます。
また、このことから得票数の多寡によって両者を区別すべき性格のものでないといえます。このようなことが一緒に選挙しない理由です。
ご質問の第2点一般の「くじ」についてのイメージからすれば、不謹慎の感じをもたれるのも最もと思いますが、この場合は恣意の入る余地のない公平・公正な方法として採用されているものです。「くじ」以外の方法としては、例えばジャンケンによる方法も考えられますが、感情等の入る余地があります。
また、投票・挙手等の多数決の方法も考えられますが、必ず多数派が当選することになります。なお、全役員を1つの選挙で選出すべき主旨は、役員構成が少数派排除による多数派代表に偏することの防止にあることに留意下さい。 (88-5-1)
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Q−38−(12) 1人1票制の場合の累積投票等について(協業組合)
Q. 役員の選挙権を1組合員1票とする協業組合では、理事の選挙に累積投票を採用できないか。
また、累積投票を監事の選挙に採用できないか。 
A. 累積投票とは、協業組合で理事を2人以上選任するときに、各組合員に1選挙権につき選挙される理事の数と同数の選挙権(3人の理事を選出する選挙のときは、1選挙権につき3票)を与え、各組合員がその選挙権を1人に集中して投票しても、また数人に適宜に分散して投票することもその自由にまかせ、その結果得票数の多い者から順次所定の員数までのものを当選者とする制度をいう。このように累積投票制は1人の組合員が複数の投票を行うことになるので、役員の選挙について1人1票制をとる協業組合では累積投票制を採用することはできないと解されている。
 次に監事の選挙についても累積投票制を採用できないかとのご質問であるが、監事の選挙については累積投票を採用することはできない。累積投票は、理事(株式会社では取締役)の選挙についてのみ採用できる選挙の方法である。累積投票は、少数派の組合員にもその有する選挙権数に比例して理事を選出する機会を与えるために採用された制度で少数派の保護を目的としている。監事は、組合の会計に不正や誤りがあるかどうかを監督することを職務とする機関で、公正、中立で
なければならない。少数派組合員の保護を目的とする累積投票は監事の選挙にはなじまない選挙方法であるわけである。(217-260) 
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Last updated on 2000.2.1