組合質疑応答集
 Q−39定款変更議決後の役員選挙等に関する質疑
Q−39−(1)認可を受けない変更定款による役員選挙の効力について
Q. 役員の選挙に、指名推選の方法を取り入れるように総会において定款変更の議決をして、その直後に指名推選の方法により役員の選挙を行い、しかもこの指名推選の方法により選ばれた役員は、定款の変更につき行政庁の認可があった日に就任するものであることを同総会において確認した。 このような役員の改選は適法であるか否か?
A. 定款の変更について行政庁の認可があった日に就任する旨の停止条件が付された役員の改選であるから、適法であると解する。 (129-147)
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Q−39−(2)増員分役員の就任、就任日について
Q. 総会において役員の定数の変更を議決すると同時に、定款の変更に伴う行政庁の認可をまたずして、同日直ちに議決された新しい定数によるところの役員の選挙を行い、その状況を記入した議事録を添付した役員定数の変更の定款変更認可申請書を行政庁に提出してきた場合、どのようにすべきか?
A. 設問のごとく、役員の定数の増加につき定款の変更を議決した総会において、行政庁の認可をまたず、ただちに増員分の役員を含めた役員の全員の選挙を行おうとする場合は、次の方法によれば有効と解される。
1定款変更前の定数による役員の選挙と増員分の役員の選挙とを区別して行うこととし、定款変更前の定数による部分の役員は、ただちに就任し、増員分の役員は選挙の際に定款の変更につき行政庁の認可を受けた日から就任する旨の停止条件を付しておき(停止条件を付した旨は議事録に明確に記載することを要する)、その条件が満たされた日、すなわち行政庁の認可のあった日に就任する。
2定款変更による増員分を含めた全役員の選挙を一括して行うこととし、その際に役員の全員につき1に述べたような停止条件を付し、その条件が満たされた日に就任する。 (129-148)
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Q−39−(3) 定数に満たない役員選挙等について(その1)
Q. 立候補制、推薦制をとる組合において、立候補者等が選挙すべき定数に満たなく、規約等に無投票当選の定めがある場合は、その立候補者等の当選が確定し、定数に満たない員数についてのみ再度選挙手続をすべきか?
それとも、立候補者等が定数に満たない場合は、その者の当選とはならず、全員について再度選挙を行うべきか?
また、この場合、定数の全員を選挙したにも拘らず、当選人の一部が就任を辞退したときはどうか?
また、以上の場合、任期満了によって辞任すべき役員の残任義務はどの時点までであるか?
A. 役員選挙は、その定数を満たすようにすべきであるが、無投票当選の定めがあれば、員数に満たないときでも、その立候補者等の当選は確定し、再度全員について選挙を行う必要はないと解する。 不足の員数については、総会の延期又は続行する決議を行い、後日総会を再開するかあるいは改めて総会を招集して充足すれば良く、また必要数の全員を選挙したにも拘らず、当選人が就任を辞退した場合は上述と同様、当選人の当選は有効であり、繰上げ当選の定めがあれば次点者を当選人とし、繰上げ当選の定めがないときは、就任辞退による不足数につき、総会の延期、続行、或いは再度招集により選挙することになる。
残任義務については、組合と役員は委任関係であり、委任関係の成立は当選者が就任を承諾したときからであるから、また一方改選の場合の前任者の残任義務は、例え、後任者の全員が選任されなくとも、後任者が就任すれば解除されるものと解されるから、役員が就任を承諾し役員に就任した時点が問題となる。 設問の場合については、総会が改めて開催される場合であって前総会において選出された役員が就任しているときはその就任した時をもって前任者の残任義務は解除される。
また、総会が延期、続会となった場合は、総会は終了せず選挙行為は完了しないから当然続会となった総会において当選した役員は続会における選挙行為が終るまで就任することができないと考えられるから、続会により開催された総会が終了し、かつ後任者が就任するまで、前任者は残任義務を負うものとする。 (130-149)
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Q−39−(4) 定数に満たない役員選挙等について(その2)
Q. 定款上理事の定数が「40名以上45名以内」と定められている組合において役員の選挙を行ったが、30名しか選出されなかった。この場合どのような処理を行うべきか?(この組合の役員選挙方法は定款で連記式無記名投票又は指名推選制度をとることになっている。)
A1. 連記式無記名投票を行った場合は、選ばれた30名は役員として有効である。ただし、定数に満たないから、残りの人数について、当該総会において、総会の続会の決議を行っておき、後日選挙を再度行うか、新たに総会を開催して、残りの10名分について選挙をやり直す必要がある。この場合、不足分を選ぶ総会は可及的すみやかに開催される必要がある。
なお、このまま残りの役員の選出を行わないで、いつまでも30人のままでいることは定款違反となるので、行政庁における業務改善命令の対象となり得る。また、役員候補者が定数に満たないような組合においては、定款改正を行い、実情にあった定数にする必要があろう。
A2. 指名推選で30人を選んだとすると、指名推選の場合は分けて行ってはならないこととなっているので、違法となり、この場合は、再度、全員について選びなおすこととなろう。 (131-150)
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Q−39−(5)
定款に定めない方法による役員選挙の是非指名推選制を予定する場合の書面議決書の記載内容
Q. 私どもの協同組合では、このたびの通常総会において、任期満了による役員改選を行うことになっておりますが、次の点について疑義がありますのでご教示下さい。なお、当組合の定款では、役員の選出方法は、無記名投票制又は指名推選制となっております。
(1) 総会当日に組合員の一部が指名推選制に反対することが予想されることから、このたびの役員改選に限り、立候補制により役員を選挙したいと考えているのですが、現行定款のまま行って差し支えないでしょうか。
(2) 役員の選出方法として指名推選の方法を予定する場合、総会に出席せず書面により投票に参加する組合員に対して、あらかじめ書面議決書により、総会において指名推選を採用することの可否について尋ね ておく必要があるでしょうか。
A. 役員の選出方法については、中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)第35条に定められていますが、組合の役員は、総会(総代会)において選出することになっており、役員の選出方法には、大別して「選挙」と「選任」の2つの方法があります。
「選挙」は、1組合員1票の「無記名投票」をもって行うことを原則としていますが、総会の出席者全員に異議のない場合は、例外として「指名推選」の方法によって行うことが認められています。貴組合の役員選出方法は、これに該当します(なお、「選任」については、「役員選任制の運用」の項を参照)。
(1) さて、はじめに、定款に定めのない方法による役員選挙の是非についてですが、組合法では、役員選挙は「定款の定めるところにより」行わなければならないこととされており(第35条第3項)、このため、第33条において、役員選挙に関する規定を定款の絶対的必要記載事項と定め、選挙の有効、無効に係る基本的手続ないし方法について定款への記載を義務づけています。
したがって、無記名投票制、指名推選制、立候補制のいずれの方法を採る場合であっても、あらかじめその旨の規定を定款に定めておくことが要件となり、よって、定款に定めのない方法による役員選挙はできないと解されます。
(2) 次の質問についてですが、指名推選制は、「総会の出席者全員に異議のない場合に限り」、無記名投票の例外として採用が認められ、さらに、この方法を採用した場合においては、被指名人について「総会の出席者全員の同意があった場合に限り」、これを当選人とすることができることになっています。
一方、都合によって総会に出席できない組合員は、その絶対的権利として書面による選挙権行使が認められており、この場合、書面による選挙権の行使者は「総会の出席者」とみなされることになっています(組合法第11条)。
したがって、指名推選の方法によることを予定する場合には、書面による選挙権の行使者に対しては、書面議決書により、あらかじめ次の3つの事項について意思表示(記載)をしてもらっておく必要があるのです。
(1)指名推選の方法による場合の、これの「採用についての可否」
(2)同じく指名推選の方法による場合の、「被指名人の条件」(この時点では、総会当日に誰が被指名人となるか分からないので、記載方法としては、例えば、「被指名人に条件はないので、同意である。」とか「被指名人に誰それが入っている場合は、不同意である。」等が考えられます。)
(3)指名推選の方法が採れず投票の方法による場合の、「被選挙人名」 (93-4)
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