組合質疑応答集
 Q−42組合事業と組合員資格事業に関する質疑
Q−42−(1) 定款記載事業を実施しない場合の処理について
Q. 定款に第7条本組合は第1条の目的を達成するため次の事業を行う。
1組合員の取扱品の共同購買、共同保管及び共同配送
2組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む)及び組合員のためにするその借入
3○○金庫、××銀行その他組合員の取引金融機関に対する組合員の債務の保証第41条総会においては、法又はこの定款で定めるもののほか、次の事項を議決する。
1借入金額の最高限度
2一組合員に対する貸付け(手形の割引を含む)又は一組合員のためにする債務保証の金額の最高限度と規定している協同組合が、1定款第7条第2号及び第3号の事業は当分の間実施しないこととして総会に対し定款第41条第2号の決議の審議を求めず、総会に出席した組合員もこれに関する決議を要求しなかったために、総会がこれに関する一切の決議をせずに終了したときには、理事は職務過怠の責を負うべきか?
2定款に記載してある事業を一定期間実施しないときは、必ず総会にはかり定款の一部を改正して、その該当事項は削除しなければならない。
A. ある事業年度において組合が行おうとする事業については、事業計画書及び収支予算書に記載され、総会の議決を経なければならないことになっている(中協法第51条第1項第3号)ので、この議決を経ていない事業は、定款に記載されていても、当該事業年度においては、実施しないことになる。
したがって、設問の事業資金の借入及び貸付事業については、その組合が当該事業年度においてこれを実施しないため、事業計画書及び収支予算書に記載されていないのであれば、借入金額の最高限度、一組合員に対する貸付金額の最高限度等に関する議決を行わなかったとしても、理事の任務過怠であるとして指摘する程の問題ではないと解する。
A2.その事業の実施が、翌事業年度ないし近い将来において再開される見込がある場合には、特に定款を改正して、当該条項を削除する必要はない。 (21-23)
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Q−42−(2) 組合事業の利用強制について
Q. 製氷業者において、組合員の製氷をすべて組合を通して販売する目的をもって事業協同組合設立の動きがあるが、これら事業につき次の点をお尋ねする。
(1) 組合規約で「組合員の製氷はすべて組合を通じて販売しなければならない」旨の直販禁止を行うことは、独禁法上からも差し支えないか。
(2) 上記の規約に罰則を付する場合とそうでない場合とでは、法的に効果は異なるか。
(3) 販売価格は、組合自体が定める価格であるので、「価格協定事業」に該当しないと考えるがどうか。
A. A1.協同組合の事業の利用を組合員に強制することは、その行為の内容が独禁法第24条但し書に該当するもの、すなわち、「不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引上げることとなる場合」でない限り差支えないと解する。
したがって、ご質問のように組合規約に組合員の製品の直売禁止を規定することは、独禁法第24条の要件を充たしている限り差支えない。 なお、組合事業の利用を強制することは、組合員の自由を不当に拘束する危険があること、また、農協法第19条において組合が組合員と組合事業の一部の専属利用契約を締結する場合は、契約の締結は組合員の任意としていることから、農協法第19条を類推して組合は組合員が自由意思により専属利用契約を締結した場合のほか組合事業の利用強制はできないとする有力な説があるので、慎重に行う必要がある。例えば、組合規約により行う場合でも、組合員全員一致による議決を行う等の配慮が必要であろう。
A2.組合事業の利用強制が適法と解される以上、当然罰則を付けることは、差支えない。
A3.貴見のとおりである。 (22-24)
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Q−42−(3) 非出資組合の事業について
Q. 下記 1及び 2の事業を、非出資組合が行い得るかどうか?
Q1.共同訓練事業Q2.見本市の開催
A. 組合員の従業員を教育するため、共同職業訓練講習会を開催することは、中団法第17条第1項第1号の事業として行い得る。
A2.見本市を開催することは、第17条第2項の共同経済事業の範疇に含まれるものと解されるので、非出資組合で行うことは認められない。 (188-225)
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Q−42−(4) 販売業者の組合が行う委託販売について
Q. 小売販売業者で組織する協同組合であるが、組合員の取扱う商品を組合員から委託を受けて組合事業として販売することは差支えないか?
A. 協同組合が事業の一つとして組合員の委託により、その取扱品の販売をすることは可能であると解するが、これも特殊の場合(例えば、一組合員で扱うには数量、金額が大きすぎる場合、取引相手が組合員の通常の取引先ではない場合、売れ残り品を出張販売する場合等)に限られるべきと思料する。というのは通常組合自体がこれを行うときは、組合の目的とする組合員の利益を図ることと相反すると思われるからである。なお、組合員の委託による販売であれば、員外利用にはならない。 (41-43)
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Q−42−(5) 食肉小売業者の組合の行う食肉生産事業について
Q. 私どもの事業協同組合は、食肉小売業を組合員資格としており、これまで食肉の共同購買を中心に事業を行ってまいりました。この度理事会で、組合員の取り扱う食肉を差別化し付加価値を高めるため、高級和牛肉の生産を組合で行い、組合員に供給したらどうかという話がありました。 組合は、組合員の事業と関係のない事業を行うことはできないとされています。私どものような小売業者の組合が、食肉の生産事業を実施することはできるのでしょうか。和牛肉の生産は畜産農業であり、組合員資格である食肉小売業とは関係がないようにも思われるのですが。
A. 事業協同組合が行える事業は「組合員の事業に関する」事業のみであることはご質問のとおりですが、その意味は、組合は組合員の資格事業と同じ業種に属する事業あるいは近接の事業しか行いえないということではありません。組合に禁止されているのは、資格事業について組合員が全く利用することのできない事業、あるいは利用が可能であっても実際には利用することのない事業を、組合が独自の立場で第三者のみを相手方として行うことです。
事業協同組合が、一般に、生産事業を実施できることは、組合法第9条の2第1項に明定されております。従って、商業者の組合でも、上述の意味で組合員の事業に関する事業であるかぎり、生産事業を実施できることは明白です。和牛肉は、貴組合の組合員の取扱品であり、組合で行うその生産は正に「組合員の事業に関する」事業であるといえます。また、消費者ニーズの多様化、高級化に対応した組合員の取扱品の差別化を図るため、これからの組合事業として積極的に取り組むべき事業だと考えます。 (90-7-1)
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Q−42−(6)電気工事業協同組合の建設業法に基づく許可について
Q. 組合事業の一つとして内外線工事の共同受注を行おうとするときは、建設業法第3条第1項ただし書きに該当する場合を除き、同条の許可を受けなければならないが、同法第7条により許可を受けるには一定の資格を有するものの存在が要件となっており、組合の場合は役員及び職員が上記の資格を有すれば、その者が非常勤であっても許可を受けられると思われるが、この解釈でよろしいか?
A. 協同組合が組合事業の一つとして内外線工事の共同受注を行おうとするときは、建設業法第3条に基づく許可を必要とし、その組合の役員及び組合の使用人のうちそれぞれ1人が同法第7条(一般建設業)(特定建設業においては第15条)に規定する許可の要件を備えなければならない。この場合の役員及び使用人の勤務の態様は、運用上常勤であることを要する。 (44-46)
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Last updated on 2000.2.1