組合質疑応答集
 Q−49その他
Q−49−(1)組合の株式取得の是非について
Q. 事業協同組合は組合員たる株式会社の株式を取得することができるか?
A. 組合が組合事業の遂行に益する関連機関の株式を所有すること及び余裕金を管理する一方法として安全有利な株式を所有することは可能である。
ただし、利殖事業として株式を所有することは、組合の事業目的を逸脱することにる。(17-20)
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Q−49−(2)組合員が1人となった組合の存続について
Q. 中小企業等協同組合の組合員が1人となった場合は、中協法第62条に規定する解散事由には該当しないが、同法の目的(第1条)及びその目的達成のための組織並びに運営に関する諸規定の趣旨から当然に解散になるものと解するがどうか?
A. 中小企業等協同組合は、組合員数がいわゆる法定数を下回ることになっても、当然には解散しない。なぜならば発起人の数(中協法第24条)、役員の定数の最低限度(同第35条)、持口数の最高限度(同第10条第3項本文)の面からみれば、組合員数は一見4人(連合会にあっては2組合)以上なければならないようであるが、これは組合の存続要件ではなく、設立要件であって、欠員の場合も十分に予想しているからである。問題となるのは設例の場合のように組合員数が1人となった場合であるが、現行法上においては、この場合にも組合は解散しないものと解する他はない。因に商法第94条第4号で「社員ガ1人ト為リタルコト」を法定解散事由と定めているが、中協法においては、これを準用していないからである。
しかしながら、組合員が1人となった場合は組合は人的結合性は完全に失なわれ、法の目的に反する結果となるので立法論としてはこれを法定解散事由に加えるようにすることも考えるが、現行法上は中協法第106条によって措置すべきであろう。(19-22)
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Q−49−(3)協業組合への組織変更について
Q−49−(3)−@組織変更の際の役員任期について
Q. 次のことについて、本県と○○地方法務局との間に疑義か生じており、教示願いたい。
(本県の見解)
事業協同組合から協業組合へ組織変更した場合の役員の任期は、中団法並びに同法において準用する中協法に特別の規定はないので「1年以内」という設立当時の任期の特例は適用されず定款に定める任期となると考える。
(○○地方法務局の見解)
中団法第98条の2第2項により、組織変更の場合の登記については中協法第97条第1項の規定が準用されるので、登記上は組織変更といえども一方の組合の解散及び他方の組合の設立として扱われる。したがって、役員の任期についても、組織変更の場合であっても中協法第36条第2項の規定により1年以内としなければならない。 
A. 事業協同組合から協業組合へ組織変更した場合における役員の任期については、貴見のとおり組合の新設ではなく、中団法第5条の23で準用する中協法第36条第2項の規定(役員の1年以内の改選)は適用されず、組織変更後1年以内の役員の改選は義務づけられないと考える。
(218-261) 
Q−49−(3)−A 組織変更の際の役員改選について
Q. 事業協同組合から協業組合に組織変更したときは役員の改選をしなければならないか。事業協同組合から商工組合に組織変更した場合には役員の改選をしなければならないことになっているが。 
A. おっしゃるとおり事業協同組合から商工組合への組織変更が行われた場合──商工組合から事業協同組合への組織変更が行われた場合も同じ──には、中団法第98条により登記をした日の翌日から起算して、90日以内に役員の全部を改選しなければならないことになっているが、事業協同組合から協業組合に組織変更したときには、役員の改選をする必要はない。ただ、役員の改選をする必要がないというのは法律上のことであって組合運営という立場からすれば協業組合に組織変更した場合には多くの場合、組合の趣旨、目的やありかたがかなり大幅に変化することになるし、新しい組織による組合運営が始まるわけであるから、この際、役員の改選を行い心機一転するのも一方法と考える。(219-262) 
Q−49−(3)−B 組織変更の際の事業要件について
Q. 事業協同組合から協業組合に組織変更が認められているが、組織変更の場合は、新規設立より協業対象事業の要件が緩やかと聞いている。これを具体的に説明されたい。 
A. 協業組合への組織変更については、中団法第95条に規定されており中協法第9条の2第1項第1号の事業を行っている事業協同組合は、組織変更によって協業組合になることができることとなっている。また、この場合、事業協同組合が行っている上記第1号の事業は、主務大臣が定めるものに限って、協業組合の協業対象事業とみなされることとなっている。この主務大臣が定めるものについては、関係主務大臣連名の通達(昭42・10・12)がでており、前記第1号の事業のうち、協定等の調整事業だけが除外されている。したがって、価格協定などの調整事業を除いて、他の第1号事業のすべて、例えば、共同生産(加工)、共同販売、共同購買等組合員事業の主要部分の共同事業に限らず、共同保管、共同運送、共同検査、あるいは事務代行、共同宣伝等の販路開拓事業などを行っていても、協業組合への組織変更が可能であり、それがそれぞれ協業対象事業とみなされることになる。
しかし、調整事業を除いて、第1号事業であればいかなる事業を行っていても、組織変更が認められるかというと、協業組合になるには、その事業が、技術の向上、品質の改善、原価の引下げ、能率の増進等生産性の向上に寄与するものであることが必要とされているので、この要件に適合するものでなければならない。
この点、新設の場合の要件と同じとも受けとれるが、例えば織物業者が現在自分達が実施していない染色の事業を共同して行いたい場合に、協同組合ならば行うことができるが、新設である限り協業組合では実施できないことになる。しかし、既に協同組合で染色事業を行っていれば、染色事業が協業の対象事業とみなされ、協業組合になることによって染色事業の生産性向上が図られると認められれば、協業組合に組織変更ができるわけであるから、この点からは、新設の場合よりも組織変更による方が、協業組合になることができる要件が緩やかといえるであろう。(219-263) 
Q−49−(3)−C 組織変更の際の解散登記等について
Q. 事業協同組合や企業組合が協業組合に組織変更した場合、その事業協同組合や企業組合の解散登記をする必要があるか。なお、解散登記が必要な場合は清算人を選任しなければならないか。 
A. 一定の要件を備えた事業協同組合、事業協同小組合及び企業組合は、組織を変更して協業組合になることができるが、この組織変更というのは、事業内容、運営など目的やあり方が異なる別の種類の法人に、解散、設立という手続きを要しないでなれることであり、協業組合になっても法律上同一の人格が事業協同組合等から継続されることである。
普通、別の種類の組合になるには、それまでの組合を解散し清算してから、改めて新規の設立手続をしなければならないわけであるが、それでは無駄な費用と手続きがかかりその上一時事業を中止しなければならないので、その弊を避けるために、特別の場合に限って組織変更という制度が設けられており、現在協業組合への組織変更のほか、事業協同組合と商工組合相互間の組織変更が認められ、また会社では、株式会社と有限会社相互間及び合資会社と合名会社相互間の組織変更が認められている。
したがって、組織変更の場合は解散、設立という手続きを要しないから、清算することも必要でなく清算人を選任しなくてもよいことになる。
しかし、登記については、中団法において組織変更の登記をすべきことを規定しており(第98条の2)、また登記が組織変更の効カ発生要件ともなっている(第95条第6項)。したがって、実際に解散が行われなくても、事業協同組合等においては解散の登記をしなければならないと同時に、協業組合においても設立の登記を行わなければならないこととなっている。
なお、この登記手続きについて若干紹介すると、組織変更の認可の日から2週間以内に、解散と設立の登記を同時に申請する必要があり、添付書類については、解散登記の場合は組織変更のあった総会の議事録及び認可書、設立登記の場合は定款、認可書、総会等の議事録(代表理事選任を証すべき書面として添付する)、出資総口数を証する書面、その他通常の解散、設立の登記と同様の書面を添付することとなっている。この場合、解散、設立の両方の登記を同時に申請するので認可書などが重複することがあるが、その場合は、
  「設立登記申請書添付の書面を援用する」と付記すれば、重複する
  書面の添付を省略することができる。また、代表理事、出資総口数
  等が組織変更の際変動がなかった場合は、「○○の書面は○○協同
  組合の登記簿の記載を援用する。」と申請書に付記すれば、代表理
  事の資格を証する書面としての総会の議事録等の添付を省略するこ
  とができる。なお、組織変更の際代表理事に変更があった場合は、
  解散の登記の申請は、新たに選任された協業組合の代表理事が行う
  こととなっている。(221-264) 
Q−49−(3)−D 組織変更の場合の不動産登記について
Q. 事業協同組合から協業組合に組織変更した場合に、協業組合名義で登記した固定資産の名義変更登記に係る登録免許税の課税の有無並びにその根拠について、ご回報願いたい。 
A. 事業協同組合名義で登記している不動産の協業組合名義への変更の登記については、不動産1個につき1,000円の登録免許税が課税される。(登録免許税法上の取扱いは「不動産の登記の更正の登記」に該当することとされている。一登録免許税法別表第1中の一不動産の登記の(11))。
(注) 本件については、組織変更に係る不動産登記か不動産の移転の登記か登記名義人の表示変更の登記か疑義のあるところ、後者の登記とされたものである。なおこれに関しては、昭和25年6月16日付民事1,612号及び昭和29年11月16日付民事甲2,402号の通達がある。(222-265) 
Q−49−(3)−E 組織変更の際の課税上の取扱いについて
Q. 中団法に基づく協業組合については、中協法に基づく事業協同組合からの組織変更が認められている。
これら組合に対する法人税の取扱いは、事業協同組合については協同組合等として、協業組合については普通法人として扱われている。
ついては、事業協同組合が、事業年度途中において協業組合に組織変更した場合に、次の事項について課税上どのように取扱われるか疑義があるので照会する。
税率の適用
事業協同組合であった期間に対応する事業分量分配金に対する法人税法第61条の規定の適用 
A. 事業協同組合が事業年度中途でその組織を協業組合に変更した場合には、組織変更の日を含む事業年度(以下「組織変更年度」という。)における法人税の課税上、その法人は、法入税法第2条第9号に規定する普通法人に該当することになる。
したがって、組織変更年度においては法人税法第61条(協同組合等の事業分量配当等の損金算入)の規定の適用はないし、組織変更年度の所得に対する法人税率は普通法人の税率が適用される。(223-266) 
Q−49−(3)−F 組織変更の際の青色申告の届出について
Q. 青色申告の承認を受けている組合か協業組合に組織変更した場合、改めて青色申告の承認を受ける必要があるか。 
A. 組織変更前の組合と組織変更後の協業組合とは同一人格と考えられるので組織形態が変っても改めて青色申告の承認を受ける必要はない。しかし、組合の名称の変更が行われるので、変更した名称を税務署に届出ておかなければならない。(223-267) 
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Q−49−(4)その他、協業組合に関する事項
Q−49−(4)−@現物出資資産の範囲とその時期について
Q.1 現物出資の目的たる財産は、貸借対照表上の資産に限られるか。協業を目的とする組合で、組合員の借入金を肩代わりし、一方機械等の資産も合せて組合に持込み、差引き正味財産を出資として取扱おうとするものである。この方法は、差支えないか。適当でないとすれば、他の方法をお教え願いたい。 
Q.2 事業協同組合が協業組合に組織変更する時点において、現物出資制を取り入れることは可能か(組織変更認可申請の変更定款に現物出資制を入れることの是非)。これについては、次の二つの意見があると思うがどうか。また、登記の方法についてはどうか。
1. 改正中団法第95条第2項に、定款、事業計画の変更を決めるとしている。現物出資制の採用も一種の定款変更であるから同時に行っても差支えない。
2. 組織変更認可は組織変更に限るものであるから、別件として扱うべきである。
A.1 現物出資の対象となるものは組合の貸借対照表に表示し得る資産であるが、ご照会の場合は負債をともなう資産の出資という点に若干疑問点が考えられる。
 現物出資に関し、その対象となる機械等の資産と組合が肩代りする負債に対応する資産がそれぞれ別個のものとして処理できれば問題はないと考える(例えば、2台の機械について1台を現物出資とし1台を肩代り充当分とする。あるいは正味財産相当額を現物出資とする。)が、別個のものとして処理できない場合、例えば分割できない1台の機械についてその一部分を現物出資に他の部分を負債充当分に当てることとなる資産については、1個として働くものを分割する形となるものであり、現物出資の性格から問題があるのではないかと考える。
 なお、この場合に、当該機械のすべてを出資し、負債分を組合で肩代りする代りに組合員への貸付金とする方法等が問題のない処理方法と考える。 
A.2 組織変更の際の定款変更は、組合の名称、事業の変更、地区の廃止等組織変更にともない当然変更しなければならないものを指し、その他の事項の変更は別個のものと解する。
 しかし、このことは、組織変更時における組織変更上当然必要とされる事項以外の事項についての変更を妨げるものではないと考える。
 したがって、組織変更認可申請の変更定款に現物出資制を付加することは可能と考える。
登記においても同様の考え方から同時に申請しても差支えないものと解する。(224-268) 
Q−49−(3)−A 配当に対する税制上の取扱いについて
Q. 協業組合は、出資配当のはか、どのような方法でも利益の分配ができると聞いているが、これに対して課税面ではどう扱われるか。 
A. お尋ねのように、協業組合は、定款に規定すれば、いかなる方法の分配も行うことができる。なお、定款に定めなければ出資配当に限られることになるが、出資配当についても、事業協業組合等のように年1割以内という制限がなく、どのような額の配当もできる。
 したがって、協業前の各組合員の取扱実績に応ずる配当や、最低保障的に各組合員平等割の配当、あるいは協同組合の利用分量配当のように、組合との取引量に応ずる配当なども可能である。勿論、一種類だけでなく、出資配当と平等割配当というように、各種の配当を組み合せて配当することもできるわけである。
 これら分配に対する税の取扱いは、すべて配当所得として取扱われることとなっている(所得税法施行令第62条)。
 したがって、配当所得とされる結果、協業組合がこれらの配当をした場合は、法人税について配当分に対する軽減税率が適用されることになる。また、これら配当を受けた組合員については、組合員が法人の場合は、一定のものについて受取配当の益金不算入の適用が受けられ、個人の場合は、配当控除、源泉分離課税の対象となるほか、事業税の対象から除外されることとなる。
 なお、協業組合が組合員に、これらの配当を交付する場合には、20%の源泉徴収をする必要がある。(225-269) 
Q−49−(3)−B 協業組合の所管行政庁について
Q. 大蔵大臣又は運輸大臣所管事業と他の事業を行う場合、企業組合は知事との共管であるが、協業組合は大臣所管となる。このような取扱いをする理由は何か。 
A. 中団法においては、組合の所管を主務大臣としており、中協法が所管行政庁として最初から都道府県知事を挙げてることとは趣きを異にしているが、中団法においても主務大臣等の権限は、中団法施行令第10条により別表1に掲げる地方支分部局長に委譲される業種を除けばほぼ協同組合と同様、都道府県知事が権限を有することになる。なお、地方支分部局長が所管する業種は国で直接所管するのが行政上適当であるとしてこのように定められたものである。
 なお、協業組合の事業が、大蔵大臣又は運輸大臣所管事業と他の事業とを行う場合は、大蔵大臣又は運輸大臣と知事との共管になると解する。(226-270) 
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