高齢者の雇用継続導入ハウツーガイド スペース
1.雇用継続を進める必要性と背景 2.企業が取り組むための手順の紹介 3.具体的な取り組み方法の紹介 5.行政からの支援、サービスの紹介 スペース
   


 公的年金の受給が可能となる年齢に達したにもかかわらず引き続き勤務する高齢者に対して、賃金が一定水準以下の場合には、引退したら得られるだろう公的年金の一部を支給する、という制度が厚生年金保険制度の枠組みの中で昭和40年に発足した。
 この年金のことを「在職老齢年金」と呼んでいる。
 在職老齢年金制度は変則的な制度である。そもそも年金制度は、高齢に伴う職業生活からの引退者に対して、引退後の生活安定のための所得保障制度である。したがって引き続き勤労所得のある在職者には支給されないのが、本来の姿と考えられるからである。
 在職老齢年金制度が昭和40年に発足したときには、65歳以上の在職者に対して、基本年金額の8割に相当する金額を支給する制度であったが、昭和44年の制度改正により、賃金が一定水準以下の60歳〜64歳の在職者に対しても、受け取る賃金(月給)の多寡に応じて、基本年金額の2〜8割(3段階)が支給されることになった。
 そして昭和60年の制度改正では、65歳以上の者に対してはこの制度は廃止され、65歳以上の者には在職している、していないにかかわらず、年金が全額支給されることとなった。
 その後、昭和64年には、賃金水準に応じて3段階であった給付割合を7段階に改め、さらに平成7年には給付額を決定する仕組みが改正された。
 平成12年の改正では、平成14年から65歳以上にも在職老齢年金制度を再び導入されることとなった。

 平成7年に改正された現行の制度では、賃金が増加すると「賃金」と「在職老齢年金」の合計額が増加する仕組みとなっている。それまでの制度では、賃金が増加したら在職老齢年金の給付割合が低下するので、「賃金」と「在職老齢年金」の合計額はほとんど横ばいとなり、労働意欲を減退させているという批判がみられたからである。
 現行制度での60歳〜64歳層に対する在職老齢年金額(月額)は、次の仕組みで求めることとなっている。