中小企業DX取組状況アンケート調査結果
山口県中小企業団体中央会では、県内中小企業及び組合のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する取組の実態を把握し、その結果を今後の事業に活かすことを目的にアンケート調査を実施しましたので、その結果についてお知らせします。
調査結果のポイント
【事業者向けアンケート結果】
- 「DXの意味を知らない」及び「DXに興味がない」は、いずれも、約5割ある。
- デジタル化は、5割近くの事業者が取り組んでいるとするが、DX(デジタル技術によるビジネスモデル変革)を推進しているとする事業者は1割程度に留まる。
- 資本金の規模が大きいほど、デジタル化やDXの取組を進めている。
- DXに期待することとしては、「生産性向上(73.2%)」が最も多く、「業務標準化・改善(70.5%)」も同水準ある。
- DX推進の障害としては、「IT人材不足(61.9%)」との回答が最も多く、「優先度が低い(47.3%)」、「予算がない(29.6%)」と続く。
- DXを推進するために必要な支援としては「補助事業の活用・支援(70.3%)」が最も多く、「好事例の紹介・情報提供(60.7%)」、「専門家の活用(39.3%)」が続く。
【考察 DX推進のために】
- 回答率が低い(27%)ことも含め、中小企業のDX推進に対する意識はいま だ低く、関心があるとする事業者においても、人材や設備において個々の事業者では対応が難しく、具体的な取組は進んでいない。
- 中小企業のDXを推進するためには、意識や取組状況に応じた支援メニューを設定し、積極的にアプローチしていく必要がある。また、業界や地域による「面」の取組が効果的と考えられることから、中
- 小企業組合にDX推進のハブとしての役割が求められる。
《調査の概要》
1 調査時期
調査時点:令和3年6月3日
2 調査対象及び回答数
(1)事業者
①調査対象事業者数:1,048事業者
②回答事業者数 :283事業者(回答率 27.0%)
(2)組合
①調査対象組合数:416組合
②回答組合数 :113組合(回答率 27.1%)
調査結果の要約
1.事業者へのアンケート結果
(1)DXの認知度及び関心度
DXの意味を知っている事業者は49.5%に対し、知らない事業者が50.5%となった。(n=283 SA)
DXへの興味持っている事業者は49.3%に対し、興味がない事業者が50.7%となった。(n=284 SA)
(2)デジタル化の取組状況について
「取組んでいる」との回答が最も多く100社(35.8%)を占め、次いで「あまり取組んでいない」が96社(34.4%)、「取組んでいない」が41社(14.7%)と続く。(n=279 SA)
デジタル化への取組状況は、資本金規模が大きいほど取組を進めている傾向にある。
(2)DXの推進状況について
DXを推進しているかについて「はい」と回答した事業者が36社(13.4%)、「いいえ」が233社(86.6%)ある。(n=269 SA)
(3)DXへ期待することについて
「生産性向上」との回答が最も多く109社(73.2%)を占め、次いで「業務標準化・改善」が105社(70.5%)、「品質向上」が48社(32.2%)と続く。(n=110 MA)
(4)DX推進に対する障害について
「IT人材不足」との回答が最も多く140社(61.9%)を占め、次いで「優先度が低い」が107社(47.3%)、「予算がない」が67社(29.3%)と続く。(n=314 MA)
(5)DXのために必要な支援について
「補助事業の活用・支援」との回答が最も多く102社(70.3%)を占め、次いで「好事例の紹介・情報提供」が88社(60.7%)、「専門家を活用したデジタル化の導入・運用支援」が57社(39.3%)と続く。(n=307 MA)
2.組合へのアンケート結果
(1) デジタル化の必要性について
「あまり必要性はない」が最も多く49組合(43.8%)を占め、次いで「必要性がある」が35組合(31.3%)、「必要性はない」が16組合(14.3%)と続く。(n=112 SA)
(2)デジタル化の目的及び理由について
「業務の効率化」が最も多く85組合(81%)を占め、次いで「共同事業利用における組合員の利便性向上」が32組合(30.5%)、「データの可視化による意思決定の迅速化」が23組合(21.9%)と続く。(n=193 MA)
(3)デジタル化推進の問題点について
「コストを負担できない」が最も多く44組合(41.5%)を占め、次いで「デジタル化技術を使いこなせない」が40組合(37.7%)、「導入の効果が分からない(予測できない)」が29組合(27.4%)と続く。(n=215 MA)
(4)DXに関して求める支援について
「好事例の紹介・情報提供」が最も多く50組合(57.5%)を占め、次いで「補助事業の活用・支援」が49組合(56.3%)、「専門家を活用したデジタル化の導入・運用支援」が25組合(28.7%)と続く。(n=134 MA)
3.考察
(1)デジタル化に対する意識について
今回の調査では、事業者と組合の合わせて1,464者に対してアンケートを実施し、回答は396者に留まった。このアンケート調査の回答者は、アンケート対象者の中でもある程度デジタル化に興味のある方のみの回答であるため、実際はデジタル化に対する意識はさらに低いと考えなければならない。
(2)求められる支援について
アンケートの回答やクロス集計をすることで、事業者毎にIT化やDX化についての認識や取組状況に大きな違いがあることが分かった。各事業者のIT化、DX化の状況は業種毎に大きな傾向は把握できたが、事業者毎に状況が大きく違うため、それぞれが置かれているステージ別の支援メニューが必要である。
(3)DX推進における組合の役割について
中小企業・小規模事業者がDXを進めるに当たっては、人材や設備において個々の事業者では対応が難しいことから、業界や地域による「面」の取組が効果的と考えられ、中小企業組合にDX推進のハブとしての役割が求められる。
組合は、組合員の具体的なITやDXに対するニーズを取りまとめ、連携組織として効率的に取り組むことで、地域や業界のDXの取組の底上げが図れると考える。