ご存じですか?「企業組合」
- 法人組織のひとつで、個人4人以上が集まり、お互いの経験やスキルを活かして事業(ビジネス)を実施する株式会社と近い形態の組合です。実施する事業は何でもOKで制約がありません。
- 設立の際に県知事の認可が必要な「県知事認可法人」であるため設立直後から高い信用力があります。
- 会社員、高齢者など様々な立場の人が組合員となることができ、発言権は平等で働き方は自分たちで柔軟に決められます。
このように企業組合は、株式会社と同じような収益事業が行えるため営利組織の一面と、非営利組織に見られる平等性の一面とがある法人です。
近年では、地域課題の解決を「ビジネス」の手法で取り組むコミュニティビジネスを行う組合が多く設立されています。
従業員を雇用することはできますし、運営面は株式会社とほぼ同じです。(法人税法上は株式会社と同じ「普通法人」として扱われます )
さらに!県知事認可法人であるため設立費用が0円に優遇されています。
※「定款認証:不要」「印紙税:非課税」「登録免許税:非課税」であり実質の設立費用がかかりません。(出資金は別途必要です)
こんな方におススメです
- 仲問(家族・友人)とともに法人を作りたい
- 社会課題を解決する団体を作りたい(コミュニティビジネス)
- 多様な立場の人が平等に発言できる形が理想
- 今ある団体(実行委員会や協議会)を法人化したい、自走できる組織を作りたい
- 働き方は自分たちで自由に決めたい
- なるべく費用と手間をかけずに法人を作りたい
- 設立後も親身に相談にのってほしい
いずれかに当てはまる場合は、ぜひ「企業組合」をご検討ください!
企業組合のメリット
①どんな事業でも実施でき利益追求OK
NPO法人と違って制約がなく、利益を追求できる組織です。専門知識や技能を活かした事業、地域に溶け込んだコミュニティビジネスなど定款に掲げれば事業に制約がありません。また配当も可能です。
②県知事認可法人で信用力がある
県知事の認可法人のため、設立直後から高い信用力があります。 法人として契約ができるため信用力が向上し、法人として不動産や車等の資産を取得・登記することもできます。
③発言権は平等
出資の多寡にかかわらず、議決権・選挙権は1組合員1票で平等です。みんなで決めてみんなで運営するというスタイルで民主的な組織運営が確保できます。組合員同士は社長と社員といった縦の関係ではありません。
④加入脱退が自由で組織を維持しやすい
組合への加入・脱退は自由で、メンバーの変更があっても組織を維持しやすいです。任意団体は代表者個人名義となることが多いため代表者の変更手続きが大変ですが、法人の場合は比較的スムーズに変更できます。
⑤設立・運営コストが安い
登記に対する登録免許税が非課税(0円)に優遇されているため、初期費用が抑えられスモールスタートが可能です。(出資金は必要) また、2年ごとに実施する必要のある代表理事の変更登記も非課税となるため、維持費用を抑えることができます。
⑥中央会という支援機関がある
中央会は組合支援が専門です。設立書類は中央会が万全サポートし、設立後は事業運営をサポートします(設立後はぜひ中央会へご入会ください)
⑦使い勝手の良い補助金がある
取引力強化推進事業(補助金額の上限50万円、補助率2/3)などの企業組合が活用しやすい補助金制度があります。申請にあたっては中央会がサポートします。(ただし年度によって異なります)
⑧株式会社に組織変更できる
将来的に事業規模が拡大した場合、組合を解散することなく株式会社へ組織変更が可能です。
全国の企業組合事例
全国的に、近年はソーシャルビジネスを行う組合が多く設立されています。
- 子育て女性サポート企業組合(子育て中の女性に対し、家事代行・託児サービスを実施)
- 障がい者福祉企業組合(障がいのある人の家族が組合員となり、障がい者福祉サービスや生活用吊を販売する店舗を運営)
- ワイナリー企業組合(農家民宿経営者を中心にワインで地域活性化を図るため設立)
- 手作り食品企業組合(主婦を中心に設立し地元道の駅で商品を販売)
- 電気工事企業組合(電気工事の資格を持つ企業遠職者仲間で設立)
- 宿泊施設の管理企業組合(廃校を活用した宿泊施設の管理を行う団体が法人化)
- 特産野菜活用企業組合(農産物の産地ブランド化に取り組む生産者が集まり、加工・販売を担うために企業組合を設立)
他の法人組織との比較
企業組合と他の法人(株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、事業協同組合)との違いについて比較しています。まずは基本的な比較表となります。
続いて、設立に際しての比較となります。
企業組合の場合、個人4人以上が設立発起人となり、組合を設立します。
設立発起人とは…
- 組合が設立されたときに組合員になろうとする「個人」※法人NG
- 設立発起人の数は4人以上が必要
最後に、構成員の権利・義務等について比較しています。
企業組合・株式会社・合同会社は出資制であるため配当請求権、残余財産分配請求権がありますが、非営利法人である一般社団法人・NPO法人にはこの権利がありません。この点が、営利法人と非営利法人の大きな違いとなります。
設立の流れ
具体的な設立の流れは以下のとおりです。
- 設立発起人を4人以上集める
- プランニング(書類作成)
- 創立総会の開催公告
- 創立総会・理事会の開催
- 行政庁へ設立認可申請の提出 →設立認可
- 出資の払い込み
- 法務局へ設立登記 →組合成立
- 税務署等へ法人設立の届出
- 事業開始
設立に際しては、中央会が全面的にバックアップしますのでご安心ください。
よくある質問
Q 設立までにどのくらいお金がかかるの?
A 「定款認証:不要」「印紙税:非課税」「登録免許税:非課税」であり実質0円で設立できます。ただし法務局へ登記する際の印鑑を作成したり、創立総会をするために会場を借りたりする費用はかかります。また、組合員になるには出資の必要がありますので出資金が別途必要です。
Q 維持費はどのくらいかかるの?
A 赤字の場合でも法人税が毎年かかります。山口県の場合、法人住民税の均等割は71000円です。登記は非課税ですので、役員改選の場合等の費用はかかりません。その他、事業活動の規模に応じて経費がかかります。また、設立後も伴走支援していくため中央会の会員となっていただいております。
Q 設立は簡単ですか?
A 書類作りなどは可能な限り中央会がサポートします。設立される皆様には、事業コンセプトや収入見込みなどをしっかりとお考えいただくことが重要です。設立の流れなどは「企業組合ガイドブック」をご覧ください。
Q 設立までどのくらいの時間がかかりますか?
A メンバーや事業計画が固まっている状態であれば1か月程度で可能です。
Q 認可法人として、どんなルールがありますか?
毎年、所管行政庁である県に決算関係書類を提出する必要があります。その他、組合員比率、出資比率、従事比率など法律で定められた企業組合ならではのルールがあります。中央会がご説明しますのでお問合せください。
Q 個人事業主が組合員となる場合、協同組合と企業組合はどう違うの?
A どのように組合事業に関わるかが異なります。企業組合の場合、基本的に、自らが企業組合の一員となって事業を実施し、勤労の対価として給与所得を受け取ります(事業所得ではなく給与所得となります)。場合によっては社会保険・労働保険に加入することになります。原則、企業組合で行う事業と同様の仕事は自分自身では行えません。
企業組合ガイドブック
企業組合制度を紹介するガイドブックを作成しています。以下の画像をクリックしてダウンロードしてください。本会にお問い合わせ頂ければ、冊子での提供も可能です。
お問い合わせ先
本会では、連携や組合設立に関するご相談を随時受け付けています。
相談料はかかりません。訪問しての相談対応やオンライン会議、電話相談が可能ですので、お気軽にご相談ください。
山口県中小企業団体中央会 連携支援部
電話 083-922-2606 E-mail ycdc@axis.or.jp