価格転嫁状況及び賃上げに関する調査結果について

本会では、会員組合傘下の中小企業に対し、原材料費や人件費(賃金等)増加に対する販売・受注価格への転嫁状況及び令和7年1月以降の賃金改定状況について調査しましたので、その結果についてお知らせします。
詳細はこちらから 価格転嫁状況及び賃上げに関する調査結果(記者配布資料)
調査結果のポイント
Ⅰ 原材料費等増加に対する販売・受注価格への転嫁状況
〇 原材料費、人件費(賃金等)の増加分を販売・受注価格に転嫁できたとする事業所(46%)は約5割と、前年調査時(49%)より若干減少しており、製造業(54%)に比べ非製造業(42%)に転嫁できていない事業所が多い。
〇 価格転嫁ができたとする事業所にあっても、8割以上の事業者が転嫁割合は50%未満となっているなど、価格転嫁の割合も前年と同程度にとどまっている。
〇 価格転嫁ができたとする事業所にあって、「原材料費分」は3割近くの事業者が50%以上転嫁できたとする一方、「人件費引上げ分」や「利益確保分」は、転嫁割合が10%未満とする事業者が6割以上あり、特に価格転嫁が進んでいない。
Ⅱ 賃金改定状況
〇 「今年1月以降引き上げた又は今後引き上げる予定」の事業所は7割と前年度と同程度ある一方、3割の事業所は「未定または今年は実施しない」としている。
〇 「賃金を引き上げた」とする事業所の平均昇給率は4.04%となっており、昨年(3.31%)より高くなっている。
〇 賃金改定に当たり重視する要素は、人材不足等を背景に「労働力の確保・定着」が64%と最も多く、次いで、「企業の業績」(53%)、「物価の動向」(37%)となっている。(複数回答)
総評
続く原材料費等の高騰や人件費の上昇に対し価格転嫁が追い付かず、転嫁割合は上がらない中にあっても、人材の確保等のため7割以上の事業所が昨年を上回る率の賃上げを行っている。一方、賃上げは未定又はできないとする事業者も3割ある。