中小企業白書(2012年版)の発表について
中小企業庁は、「平成23年度中小企業の動向」及び「平成24年度中小企業施策」(中小企業白書)をとりまとめ、公表しました。
詳しくは中小企業庁のページをご覧下さい。
「平成23年度中小企業の動向」の概要
第1部では、最近の中小企業の動向について分析し、第2部では、潜在力を発揮して、事業活動を行う中小企業の取組や課題について分析を行った。また、第3部では、中小企業が持つ潜在力を発揮するための経営課題について分析を行った。
第1部 2011年度の中小企業の動向
- 我が国経済は、東日本大震災の影響による落ち込みから回復しつつあるものの、円高や世界経済の減速等の影響により、次第に回復の動きが緩やかになってきている。
- 中小企業の景況は、大震災後、持ち直してきていたが、これまでの円高、原燃料の価格高騰、電気料金の引上げ、電力需給の逼迫等の影響が懸念され、2012年に入って横ばいの動きとなっている。今後とも経済状況及び中小企業の動向を注視しつつ、中小企業対策を適切に講じていく。
第2部 潜在力の発揮と中小企業の役割
中小企業が持つ潜在力とは、変化する社会環境において、何らかの障害があって利用されていない経営資源である。特に、柔軟な対応力、技術力、商品開発力、マーケティング力等が挙げられる。こうした潜在力を用いて、1.大震災からの復興に中心的な役割を果たしている中小企業、2.国内外の成長機会を取り込み、事業活動を行う中小企業(海外展開企業、女性の事業活動)について分析。
大震災からの復興と中小企業の役割
- 大震災により、サプライチェーンが寸断され、我が国の鉱工業生産が落ち込み、東北地方や関東地方北部が我が国の産業を支えていることが認識された。
- 地域に根ざす中小企業が、被災地の復興やまちづくり等で、地域に活力を取り戻すための役割を果たしていくことが重要である。
需要の創出・獲得に挑む事業活動
- (国内事業を活かし、海外需要を取り込む中小企業)
中小企業でも海外展開が拡大傾向。海外展開企業には、技術力やマーケティング力、アフターサービス、現地での対応力を発揮して海外市場を開拓し、国内事業を活性化している多くの事例がある。ただし、海外展開には様々な課題・リスクがあり、それらを見極めつつ、支援施策等も活用し、海外展開に取り組むことが求められる。 - (社会環境の変化に対応する女性の事業活動)
個人向けサービス分野の消費が拡大傾向にある中で、女性が起業することで提供されるサービスは、社会における需要を掘り起こしている。こうした新たなサービスの提供は個人の生活を充実させるだけでなく、家事・育児を負担する女性が就業する際の課題解決につながり、女性の社会参加や更なる課題解決サービスの拡大という好循環をもたらす可能性がある。
第3部 中小企業の技術・経営を支える取組
中小企業が、経営資源の充実にどのように取り組んでいく必要があるかについて、技術力及び経営力の維持・強化の観点から分析。
中小企業のものづくり人材の育成
ものづくり人材の育成は喫緊の課題。中小企業は、若手の技術・技能人材の確保・育成を始めとする取組により、今まで培ってきた技術・技能を円滑に承継することが重要である。中小企業が、地域や産学で連携して課題を乗り越える動きも見られ、企業の創意工夫を活かしつつ総合的な対策を実施していくことが重要である。
中小企業の経営を支える取組
中小企業の経営課題は、多様化・複雑化している。様々な外部の専門家等を活用しながら経営力を強化することが重要である。特に、身近に接する金融機関が中小企業の経営課題に対応することは、中小企業とそれを支援する金融機関がともに再生し、地域の活力を回復することにつながる。政府としても、経営支援の担い手の多様化、支援能力の向上を図っていく。
「平成24年度中小企業施策」の概要
東日本大震災からの復興に対応するために講じている資金繰り対策や、工場や店舗等の復旧支援、中小企業の潜在力を発揮するための海外展開の支援や経営支援の担い手の活性化、技術力の強化等を始めとした、平成24年度において講じようとする施策を記述。